人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』上でサイトを利用している企業の人事担当者を対象に「同一労働同一賃金」についてアンケート調査を行ない、503社から回答を得ました。以下、概要をご報告します。
調査結果 概要
★ 90%が「”同一労働同一賃金”を知っている」と回答。
★ “同一労働同一賃金”への対応状況、 2020年4月対応企業は45%、2021年4月対応企業は31%が「対応完了」もしくは「対応中」と回答。
★ “同一労働同一賃金”への対応で難しい点、第1位は「待遇差がある場合の、不合理であるかどうかの判断」。
★ ”同一労働同一賃金”を良いと思う企業は、41%。良いと思わない企業が、6ポイント上回る。
(参照)「同一労働同一賃金」ポイント対策(社労士監修)
調査結果詳細
1:90%が「”同一労働同一賃金”を知っている」と回答。(図1、図2)
“同一労働同一賃金”の認知度を伺ったところ、90%が「知っている」(内容も含めて知っている:33%、概要だけ知っている:57%)と回答しました。”同一労働同一賃金”の実施時期を伺うと、24%が「2020年4月」、51%が「2021年4月」と回答した一方、25%は自社の実施時期を「知らない・わからない」と回答しました。
【図1】 大手企業は2020年4月、中小企業は2021年4月から施行される“同一労働同一賃金(改正パートタイム労働法)法”についてご存知ですか?
【図2】”同一労働同一賃金”の実施時期はいつからですか?
2: “同一労働同一賃金”への対応状況、 2020年4月対応企業は45%、2021年4月対応企業は31%が「対応完了」もしくは「対応中」と回答。(図3)
“同一労働同一賃金”の対応状況を、実施時期別に伺うと、2020年4月に施行が迫る企業は45%が「対応完了・対応中」(既に対応が完了:5%、対応が決定し、対応中・これから対応予定:40%)と回答。1年の猶予がある2021年4月施行の企業は、31%が「対応完了・対応中」(同:6%、25%)と回答しました。
【図3】“同一労働同一賃金”の対応時期を「2020年4月」「2021年4月」と回答した企業に伺います。“同一労働同一賃金”の対応状況を教えてください。
3: ”同一労働同一賃金”への対応で難しい点、第1位は「待遇差がある場合の、不合理かどうかの判断」。(図4、図5)
「対応完了・対応中」と回答した企業に、「”同一労働同一賃金”への対応で、難しいと思う点は何ですか?」と伺うと、第1位は「待遇差がある場合の、不合理かどうかの判断」(53%)でした。次いで、「同一労働同一賃金対応時の人件費の増加」(45%)、「正社員と有期雇用社員の待遇差の理由確認」(41%)でした。2020年4月対応企業と2021年4月対応企業で、5ポイント以上差があったのは「待遇差がある場合、不合理であるかどうかの判断」(2020年4月対応企業:44%、2021年4月対応企業:58%)、「同一労働同一賃金に対応した場合の人件費の増加」(同47%、42%)、「正社員と有期雇用社員の待遇差の理由の確認」(同:44%、37%)でした。
「“同一労働同一賃金”に対応する(予定含む)賃金・待遇はどれですか?」と伺うと、トップ3は「基本給」(54%)、「賞与」(45%)、「通勤手当(一律)」(28%)でした。 2020年4月対応企業と2021年4月対応企業で、10ポイント以上差があったのは「家族手当(一律)」(2020年4月対応企業:15%、2021年4月対応企業:27%)でした。
【図4】「既に対応が完了」「対応が決定し、対応中・これから対応予定」 「対応を検討中」と回答した方に伺います。”同一労働同一賃金”への対応で、難しいと思う点は何ですか?(複数回答可)
【図5】「既に対応が完了」「対応が決定し、対応中・これから対応予定」 「対応を検討中」と回答した方に伺います。“同一労働同一賃金”に対応する(予定含む)賃金・待遇はどれですか?(複数回答可)
4:”同一労働同一賃金”を良いと思う企業は、41%。良いと思わない企業が、6ポイント上回る。(図6)
「“同一労働同一賃金”について、どのように思いますか?」と伺うと、41%が「良いと思う」(非常に良いと思う:3%、まあ良いと思う:38%)、47%が「良いと思わない」(良いと思わない:14%、あまり良いとは思わない:33%)と回答。「良いと思わない」が6ポイント上回りました。それぞれ具体的な理由も紹介します。
【図6】 “同一労働同一賃金”について、どのように思いますか?
「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」と回答された企業のコメント
・同じ業務であれば同じ賃金を受け取るのは当たり前だと思うため。ただ「責任」についてどう捉えるのかは別問題。(流通・小売関連/50~99名)
・主旨に関しては理解・納得しています。当社の業務が職業分類にそのまま当てはまらなかったので、さらに詳細な分類表を作成していただきたいです。(サービス関連/100~299名)
・日本企業は「役割期待給」なので同じ仕事をしていても片方はその部署専門、片方は全国転勤ありで将来は別部署への異動をするなどあれば差がつくのは当然であり、不満の解消にはつながらない。「総合職」というものにメスを入れない限り真の同一労働同一賃金とはならないが、まずは大きな一歩だとは思う。(商社/100~299名)
「分かりづらい」と回答された企業のコメント
・一定の基準を設けている法改正ではないので、包括的な話になってしまっている。個別の事案の判断がつけにくい。(サービス関連/1~49名)
・同一労働とはどのように定義するのか。定義できるような仕事が日本の生産性向上に役立つとは思えない。(金融・コンサル/100~299名)
・ 「不合理」の判断基準にはまだまだ幅があると伺いました。受け取り手によって差異があり、客観的な基準が不明瞭であるように感じます。(不動産・建設関連/1000名以上)
「良いと思わない」「あまり良いと思わない」と回答された企業のコメント
・正社員であることのメリットがなくなり、社員の副業等のリスクや人材が流出する可能性があるため。(IT・情報処理・インターネット関連/100~299名)
・派遣労働者の苦しい声のみを取り上げ、派遣労働者である程度満足している人たちの声を聴いてない。良くなる方向への気持ちはわかるが、国が賃金基準を押し付けるのはおかしい。 (広告・出版・マスコミ関連/100~299名)
・アルバイト従業員が多いため、人件費がさらに上がる懸念。(サービス関連/1000名以上)
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『人事のミカタ』を利用中の企業
■有効回答数:503社
■調査期間:2019年12月11日 ~ 2020年1月14日