「不思議の国のアリス」にも登場する絶滅した鳥類「ドードー」を復活させる計画をアメリカの企業が発表した。遺伝子編集でドードーそっくりの鳥を再現して、かつて生息していたモーリシャス島で野生に戻すのが目標だという。
人類の影響で絶滅した動物を、莫大な金銭を費やして復活させるプロジェクト。「そもそも(生き残っている生物の)絶滅を防ぐことが最優先だし、コストもかからない」と研究者からは批判の声も出ている。
■17世紀に絶滅した「ドードー」ってどんな鳥?
ドードーは七面鳥ほどの大きさのハトの仲間の鳥。全長は約1メートル、体重は20キロを超えた。翼が退化して、飛ぶことはできず、主に木の実などを食べていたという。
マダガスカル沖にあるモーリシャス島に生息していたが、16世紀以降にヨーロッパ人が入植したことがきっかけで、17世紀末には絶滅した。食用として乱獲されたことや、家畜用のブタに卵と雛が食べられたことが原因だとみられている。
■ハトの卵を遺伝子操作してドードーを復活させる計画。批判的な声も
ドードーの復活計画を発表したのは、アメリカのベンチャー企業「コロッサル・バイオサイエンス」だ。この会社はテクノロジー起業家のベン・ラムさんとハーバード大学の遺伝学者ジョージ・チャーチさんによって2021年、マンモスの復活を目標に掲げて設立された。2022年にはフクロオオカミを復活させる計画を発表している。
1月31日付けのプレスリリースによると、コロッサル社はベンチャーキャピタルから1億5000万ドル(約200億円)の融資を受けて、ドードーの復活に乗り出すことになった。ドードーのゲノムを解析したカリフォルニア大学サンタクルーズ校の進化生物学者、ベス・シャピロ博士が協力しているという。
科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」によると、コロッサル社はハトの卵から抽出した始原生殖細胞(PGC)を遺伝子操作することで、最終的にドードーのような鳥に成長させることを目指している。シャピロ博士も「ドードーの最終バージョンは、ドードーの大きさになるように操作されたハトから生まれることになります」と同誌に話している。
ただし、莫大な資金を費やして絶滅動物を復活させることに批判的な声もある。カナダのダルハウジー大学の生物学者であるボリス・ワームさんはAP通信に次のように指摘した。
「そもそも種が絶滅しないようにすることが最優先。ほとんどの場合、その方がずっと安上がりです」