SDGsの年限である2030年が迫り、企業や自治体でも社会課題の解決に向けて多くの取り組みが進められている。
一筋縄ではいかない課題の数々に苦戦を強いられることも多い中、GHG(温室効果ガス)排出量の削減に取り組む大日本印刷(以下:DNP)は、計画よりも大幅に前倒しで目標を達成できる見通しであることから、目標値を引き上げることを発表した。
目標を引き上げて、新たな挑戦へ
DNPでは、2030年度をターゲットとしてGHG排出量の削減に取り組んできた。2022年度末(2023年3月末)に目標値の9割を達成したため、削減目標の引き上げを発表した。また、資源循環率や水使用量削減などについても、より挑戦的な目標を掲げていく方針だという。
GHG排出量削減の従来目標は、「15年度比で40%の削減」だった。想定以上に進捗し、2022年度には36.5%まで達成した。そのため、新たに「19年度比で46.2%削減」という目標を掲げた。
「透明性」と「横の繋がり」で目指す未来
同社は再生可能エネルギーや省エネ施設の積極的な導入など、多方面からのアプローチで環境問題の解決に取り組んでいる。
2023年にはDNPファインオプトロニクス三原東工場(広島県)に再生可能エネルギーによる電力を導入した。2024年には都内のDNP市谷鷹匠町ビルとDNP市谷左内町ビル、福島県のDNPテクノパック泉崎工場、2025年には東京・新宿にある本社ビルでもあるDNP市谷加賀町ビルにも再エネ電力を導入する予定だ。
また、省エネ効果の高い設備への投資を優先して行っていくため、設備選定時の判断基準の1つにICP(インターナルカーボンプライシング:企業内部で独自に炭素価格を設定し、組織の戦略や意思決定に活用する手法)を採用。このICPについても、該当設備が排出すると想定するCO2に対して、1トンあたり3000円換算だったものを、今回の変更で2万円換算に引き上げることを発表した。
DNPでは今後、国際的な枠組みであるTNFD(Task Force on Nature-related Financial Disclosures)が提言するフレームワークを活用して、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会について、より透明性を高めた情報開示を行い、多様なステークホルダーとのさらなる対話を進めてくという。