子供のいる家庭が地震や台風に襲われた。幸い怪我はなかったとしても、次は「子供の退屈」と戦うことになる……。
2018年に被災した子育て中の家庭を対象にしたアンケート調査結果が、2月26日に発表された。
DCMホールディングスの委託を受けて、震災の被災者支援活動などにあたるNPO法人ダイバーシティ研究所が調べたものだ。子どものストレス軽減のためにも、「おもちゃ」や「おやつ」を用意することが必要と訴えている。
■「迷惑かけたくたい」自宅で過ごす派が多数
調査対象となったのは当時小学3年生までの子供がいて、2018年に起きた災害で、電気やガスが止まるなど被災した経験がある家庭だ。
死者237人を出した平成30年7月豪雨、大阪北部地震、それに北海道胆振東部地震などを経験している。
これらの家庭のうち、避難所を利用したのはわずか7%で、自宅で過ごした家庭は68%にのぼった。
家屋の耐震性が向上し、倒壊を免れる家が増えたことに加え、子供が泣くなどして周囲に迷惑をかけることを考え、避難所へ行くのをためらうケースが多いとみられる。
■日頃の備えは9割以上が「不十分」
調査では、非常食や携帯トイレなどが入った「持ち出し袋」を事前に準備しておいたかも聞いたが、91%の家庭が「用意していなかった」または「用意していたが不十分だった」と答えた。
研究所によると、阪神・淡路大震災や新潟県中越沖地震などの被災者も9割以上が「持ち出し袋」を準備していなかったことが分かっていて、備えの大切さが十分に浸透していないことが改めて浮き彫りになった。
■「絶対用意すべきもの」は子供の退屈対策
災害発生後の3日間で子育て中の家庭が「用意すべきと感じたもの」では、「モバイルバッテリー」が84%と2位の「水」の51%を大きく引き離して1位に選ばれた。
発災直後は通信回線が不安定になることも多いが、スマホを利用した情報収集や子供の学校との連絡用に重宝されるという。
モバイルバッテリーの使い道は、スマホの充電だけではない。
調査では、慣れない被災後の生活で子供はストレスが溜まったり、退屈さを感じることがあったことが分かっている。バッテリーを使えば停電中でも子供をゲーム機やおもちゃで遊ばせることができるというのだ。
また、小さな子供を持つ家庭では、保存食はあったものの、子供用のおやつまでは用意がなかったケースもあり、41%が「用意するべき」と答えている。
調査を行なったダイバーシティ研究所の田村太郎代表理事は「学校は休みになり、停電でテレビも見られないため、災害時の子ども達の最大の悩みは『退屈である』ことだ。気分を紛らわせることができるものや、いつもと同じ生活を感じられるものが重要だ」とコメントしている。