障がいのあるLGBTQ+の若者は、障がいのない同世代に比べてメンタルヘルスの問題を抱える割合や自殺リスクが高いことが、米NPO団体の調査で明らかになった。
調査を実施したのは、性的マイノリティの若者の自殺防止に取り組む米NPO「トレバープロジェクト」だ。
同団体は障がいのあるLGBTQのメンタルヘルスの問題を調べるため、13〜24歳までのLGBTQ+の若者2万8524人が参加したオンライン調査を分析(参加者うち、29%にあたる7780人がADHDや自閉症、身体的な障がい、HIVなどの自己免疫疾患などの障がいがあると回答している)。
分析の結果、障がいのあるLGBTQの若者のメンタルヘルスの問題や希死念慮のリスクは、障がいのない人に比べて高かった。
・過去1年間にうつ病を経験した人の割合
障がいのあるLGBTQ+の若者:60%
障がいのないLGBTQ+の若者:51%
・不安を経験した人の割合
障がいのあるLGBTQ+の若者:75%
障がいのないLGBTQ+の若者:63%
・真剣に自殺を考えた人の割合
障がいのあるLGBTQ+の若者:48%
障がいのないLGBTQ+の若者:37%
・自殺未遂をした人の割合
障がいのあるLGBTQ+の若者:19%
障がいのないLGBTQ+の若者:11%
さらに、障がいがあると回答したLGBTQ+の若者の約65%が、障がいに対する差別を感じたことがあると答えていた。
主任研究者のスティーブン・ホバイカ博士は、障がいに対する差別や、社会から疎外された少数者が経験する「マイノリティストレス」などが、高いうつ病や自殺傾向の割合と関連しているとハフポストUS版の取材で説明した。
「LGBTQのアイデンティティと障がいが組み合わさるインターセクショナリティーが、マイノリティストレスを悪化させ、高い割合を引き起こしている可能性があると考えられます」
2021年のギャラップの調査では、Z世代の約5人に1人が、LGBTQ+当事者だと回答している。また、2018年のヒューマン・ライツ・キャンペーンの調査では、LGBTQ+の若者の15%が障がいがあると答えた。
その一方で、ホバイカ博士によるとLGBTQ+の若者を対象にしたメンタルヘルスの調査は限られている上、障がいのある人たちのデータはさらに少ない。
ホバイカ博士は「疎外されたアイデンティティを複数持つLGBTQ+の若者の生活をより理解し、改善するためには、インターセクショナリティーを考慮に入れた研究が重要」と強調する。
トレバープロジェクトの調査では、肯定的な要素も見つかっている。
障がいのあるLGBTQ+の若者のうち、カウンセリングを受けた68%が、セラピストが自分の障がいを理解していると感じており、それが自殺率の低下につながっていた。
セラピストに理解されていると回答したの希死念慮の割合は45%で、理解されていないと答えた人の56%より低く、自殺未遂も16%と理解されていないと感じた人々の25%よりも低かった。
ホバイカ博士は「認識され、理解され、肯定されるという感覚はすべてのLGBTQ+の若者にとって重要ですが、特にインターセクショナリティの中で生きる人とってはそうであると言えます」と述べている。
「障がいのあるLGBTQ+の若者が直面する独自の課題をより理解し、質の高いケアを提供するためには、メンタルヘルスの専門家が障がいに関するトレーニングを受けることが不可欠だと言えます」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。