1万年前に絶滅したダイアウルフの復活に成功したと米企業が発表「科学進歩の革命」

米企業が、ダイアウルフの子どもを誕生させることに成功したと発表した。
生後3カ月のロムルスとレムス(2024年10月1日撮影)
生後3カ月のロムルスとレムス(2024年10月1日撮影)
Colossal Biosciences

アメリカ・テキサス州に本社を置くバイオテクノロジー企業のコロッサル・バイオサイエンス社が4月7日、約1万2000年前に絶滅したとされるオオカミ、ダイアウルフの子どもを誕生させることに成功したと発表した。

誕生したのは、ロムルスとレムスという名の雄2頭と、カリーシという名の雌1頭の合計3頭だ。

同社のベン・ラムCEOは、「今回の偉業は、当社の絶滅復活技術が実際に機能することを示しています。これは、これから先に起きる多くの成果の第一歩に過ぎません」とプレスリリースで述べている。

どうやって絶滅種を誕生させた?

ダイアウルフはかつて北米に実在していた大型のイヌ科動物だ。現存するオオカミより大きな頭蓋骨や歯を持ち、カリフォルニア州やフロリダ州やインディアナ州、メキシコなどで化石が発見されている。

ダイアウルフという名前は「恐ろしいオオカミ」という意味で、アメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や、日本発のゲーム『ファイナルファンタジー』などにも登場する。

コロッサル・バイオサイエンス社はこのダイアウルフを復活させるために、約1万3000年前の歯と約7万2000年前の頭蓋骨の化石からDNAを取り出し、ゲノム配列を解読。

この古代ゲノムを組み立てて、オオカミやジャッカル、キツネ、ドールなどの現存するイヌ科動物のゲノムと比較し、ダイアウルフ特有の遺伝子変異を特定したという。

さらに、ダイアウルフに最も近い現存種であるオオカミのドナーゲノムを遺伝子編集して細胞株を選別。クローン技術を使い、犬を代理母として3回の出産で3頭を誕生させたとしている。

また、このゲノム解析の過程で、ダイアウルフが白くて長い毛を持っていたことを突き止めたという。

同社やメディアが公開した動画には、白い毛並みのロムルスとレムスが人間にミルクを与えられたり、駆け回ったり、遠吠えをしたりする様子などが映っている。

ロムルス、レムス、カリーシの3頭は現在、動物保護団体の認定を受けた自然保護区で監視のもと飼育されている。

コロッサル・バイオサイエンスは、最終的には先住民の土地を含む広大な保護区域で種の復元を目指すとしている。

同社は、3頭のダイアウルフの誕生は「科学の進歩における革命的な出来事だ」と述べている。

「これはコロッサル社の絶滅復活技術における大きな飛躍であり、他の絶滅種の復活に向けた重要なステップです」

コロッサル・バイオサイエンス社は、テック起業家のラム氏とハーバード・メディカルスクールの遺伝子学者ジョージ・チャーチ氏が、絶滅危惧種を復活させることを目的に2021年に設立した。

これまでに、マンモスやオーストラリアのフクロオオカミ(タスマニアタイガー)やドードーなど、他の絶滅種の復活計画を発表している。

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