不定期でブログを投稿させていただきます、西口洋平です。妻と小学生のこどもを持つ、一般的な38歳男性です。「ステージ4のがん」であることを除いては。
がんだと宣告されたときに、おぼえた孤独感。仲間がいない。家族のこと、仕事のこと、お金のこと......相談できる相手がいない。同じ境遇の人が周りにいない。ほんとにいなかった。
それなら自分で仲間を募るサービスをつくろうと、ネット上のピア(仲間)サポートサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」を、2016年4月に立ち上げました。
こどももいて、地元には親もいる。仕事やお金...... 心配は尽きません。 そんな僕みたいな働き盛り世代で、がんと闘う人たちをサポートしたい。そんな思いから、抗がん剤による治療、副作用と付き合いながら、仕事と並行して、地道に活動を続けています。
※キャンサーペアレンツのFacebookページで活動情報をアップしていきますので、「いいね!」をお願いします。
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膵臓がんのナオさん。
2015年6月にがん告知を受け、手術や抗がん剤治療を経験。2016年に再発し、抗がん剤、放射線など様々な治療を行うものの、現在は無治療で生活。小学校一年生の息子さんと旦那さんの三人暮らし。
ナオさんがキャンサーペアレンツに登録したのは、2016年9月。
発信するのは苦手とのことで、キャンサーペアレンツに登録するまではブログや日記などを書いたこともなく。そんなナオさんの日記を、ご本人の了承のもと、これから一つずつご紹介をさせていただきます。
第4話「息子の運動会に、思うこと」はコチラから
第5話「放射線治療(一旦)終了」はコチラから
第7話「医療用麻薬、開始」はコチラから
第8話「医療用麻薬、開始 その2」はコチラから
第9話「生かされている、私」はコチラから
第10話「今年の目標はただひとつ」はコチラから
第12話「がんになって、生きてる意味がわかった」はコチラから
第13話「死ぬときは前のめり」はコチラから
第14話「副作用と、生きること」はコチラから
第15話「決断、死ぬまで生きる」はコチラから
第16話「感謝/息子とがんの母」はコチラから
第17話「がんを笑った息子」はコチラから
第20話「ホスピスは最期を迎えるための場所ではない?」はコチラから
※キャンサーペアレンツは、子育て世代・就労世代のがん患者のコミュニティであり、様々な社会的な接点の中で生きています。こども、家族、仕事、地域、普段の生活、将来への不安。がん患者への偏見や誤解など、まだまだ「がんと生きる」ということに対する理解が乏しいというのが実態です。キャンサーペアレンツでは、ここに集う方々の意見を『声』として広く世の中に発信し、がんに対する理解を広げ、がんになっても生きていきやすい社会を実現すべく活動を行っています。
■投稿日
2017年8月22日(火)
■タイトル
死を待つ生活を送ること
■本文
余命宣告から3ヶ月が経過しました。
どうにかこうにか、生きています!
もちろん体調がいいときばかりではなく、発作的に起こる腹痛と嘔吐に悩まされてもいます。
先日はこの症状が一週間ほども続いてしまい、体重もまた減少......
「このまま死んじゃうのかな」と思いましたが、なんとか回復。
このときの検査で久しぶりにCTを撮りましたが、腹部リンパ節にある腫瘍の大きさはほとんど変わらず。転移も特になく、3ヶ月前と状況はあまり変わっていません。
しかし、びっくりしたことがひとつ。
膵臓がんに使う腫瘍マーカーが何種類かあるのですが、そのうちのひとつが、下がっていたのです(!)。
抗がん剤をやめてから、治療と言えることは何もしていません。
食事療法もしていないし、気をつけていることも何もないです。
なぜ腫瘍マーカーの一部が下がったのか不明です。
(上がり続けているマーカーもあるので、治ってきてるわけではありません)
がんって、不思議です。
***
先日、おそらく私たち家族にとって最後になるであろう旅行の予約をしていました。
昔から仲良しの友人家族も一緒に行く予定でした。
しかし運悪く、私の体調が悪くなってしまい......。
キャンセルするか悩んだのですが、息子が「父ちゃんとふたりでも行く!」と。
友人家族と息子と夫で、旅行に出かけていきました。
帰ってきた息子は「楽しかった!行ってよかった!」と明るい顔。
私も、最後の旅行に行けなかったことを悲しんでいたのですが、この息子の顔を見て、あ、これでよかったんだなー、と思いました。
これから彼は父親と生きていく。
母親なしで、生きていくのです。
息子が私なしでも楽しんでくれた姿を見たら、ホッとしました。
うん、彼なら大丈夫。
私なしでも、しっかり生きてくれるだろう。
旅行に行けなかったのは残念だったけど、その姿を確認できたことで、心から安心できました。
キャンセルしなくて、本当によかった!
一緒に行ってくれた友人家族のサポートも心強いです。
きっと私が死んでしまっても、一緒に旅行に行ってくれるでしょう。
男二人だと、なかなか旅行なんて行かないだろうしね。
***
死を待つ生活を送ること、
余命の先を生きること。
これはなかなかに強い気持ちが必要なことです。
ふとした瞬間、何もかもが無意味に思えることもあります。
死って、どこへ行くことなんだろう。
痛いのかな。苦しいのかな。
だんだん覚悟は決まりつつありますが、それでもやっぱり怖いです。
体調が悪くなるたび、「あ、今度こそかな」と思います。
子供のため、一日でも長くという想いが消えそうになる日もあります。
それでもやっぱり今、余命宣告を覆したこと、そのことに心から感謝します。
この先いつまで生きられるかわからないけど、生きている意味を問うてしまうようなつらいこともたくさんあるけれど、一日でも長く生きて、子供の記憶に残るお母さんになりたいです!
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(第22話へつづく)
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