今回は私が子どもの頃の話をしようと思います。
今より25年以上前、私が中学2年生だった頃のことです。
当時はまだ発達障害について、世間の認識というものはほぼなかったと思います。学校でも、そういう子たちのことを教わることはありませんでした。
私と同じ学年に他の子とは少し違う雰囲気を持つ子がいました。唸り声をあげながら手をすり合わせている子、常に誰かと話しているようなひとり言を言っている子など。
その頃は支援体制というものはなく、彼らは普通学級に通っていました。
ある日の休み時間、隣のクラスのひとり言を言う男子が、何人かの男子にからかわれていました。
彼は「やめてください、やめてください」と繰り返し、同じクラスの女子が「やめなさいよ」と注意していましたが、男子たちはからかうのをやめませんでした。
私はそれをただただ傍観していました。
私は発達障害のことをよく知らないが故に、彼らのことを普段、心の奥で怖いと思ってしまっていました。だから関わらないようにしていました。
その場は先生が駆けつけたことで、とりあえず落ち着きましたが、それから数日の間、私は自分の行動にもやもやした気持ちでいました。
そして3年生になり、私はあのひとり言の彼と同じクラスになりました。
彼はタカトシ(仮名)という名で、クラスみんなが「タカ、タカ」と、あだ名で呼んでいました。同じ空間にいるようになって知ったのですが、タカはひとり言ばかり言ってはいますが、話しかければ返事をしてくれるし、鉄道が好きだったタカに路線の話をすると話が盛り上がり、とても嬉しそうにしていました。
タカのことを何も知らなかった。知らずに勝手に怖い人間だと思いこんでいた。私は過去の自分を恥じました。
タカとは席が近かったこともあり、気軽に話せる間柄になりました。
それから何年もが過ぎて大人になり、就職して、結婚して、子どもが2人生まれ、その子どもの一人が発達障害で、日々奮闘する毎日。
こもたろを見ていると、ときおり中学の頃の彼らを思い出します。
そして今、彼らが元気に楽しく過ごしていることを願っています。
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