新型コロナウイルスの危機に直面しているインドとパキスタンを、新たな脅威が襲っている。バッタの大群だ。
インドやパキスタンでは、サバクトビバッタが大発生しており生息範囲を広げている。
インドでは少なくとも5つの州に広がっており、農作物に甚大な被害を与えているとインディア・トゥデイは伝える。
インドのテレビ局NDTVによると、西部マハラシュトラ州では、作物をバッタから守るために殺虫剤を頒布している。
また中部マドヤ・パラデシュ州では、農務省が被害を受けた地域の農家たちに、ドラムや食器を叩いたり、叫んだりして大きな音を立て、バッタを追い払うようにアドバイスしているという。
国連食糧農業機関(FAO)のキース・クレスマン氏によると、この大群は春の産卵で生まれたサバクトビバッタだ。
クレスマン氏は、「6月には東アフリカから別の群れが到達する可能性がある」とも警告している。
サバクトビバッタの大発生は東アフリカやアラビア半島でも起きていて、大きな問題になっている。
FAOによると、現在大発生しているサバクトビバッタは、もともとアラビア半島で発生したものだが、それが東アフリカや東南アジアまで広がっていると考えられている。
近年発生した幾つかの国での豪雨が、サバクトビバッタの産卵に最適な状況を作った、と同機関は説明する。
FAOはサバクトビバッタへ対策の資金を調達するなど対策を進めているが、解決には時間がかかりそうだ。
FAOによると、若いサバクトビバッタが、これから訪れる収穫シーズンの6月に食欲旺盛な成虫となり、食料危機の問題を悪化させる可能性がある。
さらに、イエメンでは新たな繁殖が進んでいて、6月にさらに大量のサバクトビバッタが発生して東アフリカの状況を悪化させる可能性もある。
FAOのチュー・ドンユィ事務局長は「サバクトビバッタの大発生は新型コロナウイルスの影響と重なって、人々の生活と食料の安全にとって壊滅的な結果をもたらしうる」と、強い懸念を示している。
近年世界各地を悩ませているバッタの大発生。国連環境計画の専門家、リチャード・ムーナン氏は、地球温暖化がサバクトビバッタの大発生に影響を与えていると指摘している。