2019年3月に麻薬取締法違反の疑いで逮捕され、6月に懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を受けたピエール瀧さんの社会復帰に関連して、ピエール瀧さんとテクノユニット「電気グルーヴ」で活動してきた石野卓球さんが発信をしている。
ピエール瀧さんの逮捕を受け、ソニー・ミュージックレーベルズは3月13日、電気グルーヴの音源・映像を回収および出荷・配信停止するなどの措置を講じることを発表していた。
この措置が続いていることについて、石野卓球さんがTwitter上で12月8日、「執行猶予期間ってまた社会復帰する為の期間なのに音源差し止めて収入源を断つってどういうことなんだろうね?」と問題提起をし、注目されている。
また、石野卓球さんは、Twitterのプロフィール画面に「現在SONY MUSICから著作権上において不当な連帯責任を取らされ中の電気グルーヴの著作権者」とも記した。
ソニー・ミュージックレーベルズはハフポスト日本版の12月の取材に対し、「ピエール瀧及び電気グルーヴ関連の商品につきましては、今回の事態における社会的影響を鑑み、企業としてコンプライアンスを重視すべき立場という判断から、出荷停止及びデジタル配信停止の対応を現在も継続しております」と回答した。
ソニー・ミュージックアーティスツは、4月2日にピエール瀧さんとのマネジメント契約を解除し、6月30日をもって石野卓球さんとのマネジメント契約を終了している。
■「再起支援をためらわないで」
「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表で、「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」の事務局を務める田中紀子さんは、「芸能界には、再起を支援する行動をためらわないで欲しい」と話す。
「執行猶予は社会で更生・回復する時間であり、そのためには就労は大切です。執行猶予中の人を支えることは、孤立して再び反社会的な行動をとる事を防ぎ、治安を守るという好循環にもつながります。芸能界で、こういった更生を支える姿勢が取られていない傾向にあることには、疑問を持っています。
再起を応援することは労力がいることです。今回のソニー・ミュージックレーベルズの対応は、『我々は再起を支援しない』『業界にいた人を業界が支援する必要はない』という姿勢を示してしまうことになってしまう。
芸能界の関係者・企業には、『罪を犯した人を支援したら、世間から批判されるのではないか』とためらう事はせず、ファーストペンギンになる事(勇気を持って最初に行動する事)を恐れないで欲しい。再起を支援する行動を、社会は温かく理解してくれるはずです。恐れないで行動して欲しいです」
■執行猶予とは
裁判所のサイトによると、執行猶予とは、被告人は有罪であり刑も決められているが、執行猶予の期間内に再び罪を犯すなどなく過ごした時は、刑の執行を受けることがなくなる制度。一方、執行猶予の期間内に再び罪を犯すなどすると、執行猶予は取り消され、刑を執行される。
刑罰には、過ちを自覚反省させ立ち直らせるという働きがあり、比較的軽い罪を犯したような場合で自身の非を悟っている場合などは、刑務所に入ることで自暴自棄になるといった事態も考えられるとして、執行猶予の制度が考え出されたと、このサイトは説明している。