若い世代にとって、ネットは生きるために欠かせないツールとなっている。
飛行機の経由地で産気づいた女性が頼ったのは、YouTubeだった。彼女がTwitterに投稿した出産時の様子が、話題になっている。
ティア・フリーマンさんはアメリカ・テネシー州に住む22歳の女性。アメリカ空軍でコンピューター・スペシャリストとして働く。
インディペンデント紙によると、フリーマンさんが妊娠に気づいたのは2018年の1月。既に妊娠6カ月だった。
ピルを飲んでいたため、毎月生理がないのを不思議に思わず、体重も増えなかったので妊娠に気づかなかったという。
その時点で、ドイツ旅行の予定があったフリーマンさん。「チケットもそれ以外も、全部購入済みだったので、『出産が予定日通りなら、まあ行っても大丈夫だろう』と思いました」とニューズウィークに話す。
3月上旬、トルコ・イスタンブール経由でアメリカ発ドイツ行きフライトに乗った。
ところが、機内食を食べた後、お腹に引きつるような痛みを感じ始めた。フリーマンさんは食中毒だと思った。
乗り継ぎで17時間過ごすイスタンブールに到着しても痛みはおさまらない。気を失いそうになり、汗が止まらず、吐き気もする状態に、もしかしてこれ陣痛?と思い当たったというフリーマンさん。混雑した空港で産むわけにはいかないと、必死に税関での手続きをすませてホテルにたどり着いた。
ホテルに到着すると、ほとんど立ち上がることができなくなり、確実に産気づいているとわかった。しかしここは外国。トルコの緊急電話番号もわからないし、周りに英語を話す人はほとんどいない。
わからないことだらけの状況でフリーマンさんが頼ったのは、インターネットだった。Twitterにこう綴る。
「ミレニアル世代として、YouTubeに頼ることにしました。誰も頼れなくても、インターネットは私の味方!ホテルの部屋で一人で、赤ちゃんを産む手順を調べました」
「不安を感じている暇はありませんでした。すぐに行動を開始しました。バスタブに温かいお湯を入れ、タオルを準備しました。1枚は歯を食いしばるために口に入れ、もう一枚は生まれてくる赤ちゃん用に用意しました」
携帯を使って陣痛の間隔を計り、息むタイミングを探った。産む時には、今まで経験したことのないような痛みを味わったが、幸運にも出産は早く終わったという。生まれたのは男の子。へその緒の切り方も検索した。
生まれたばかりの赤ちゃん連れてトルコを出国する方法がわからなかったので、翌日に空港に行って尋ねることにした。
シャツに包まれている新生児を見て空港職員は仰天した、とフリーマンさんは説明する。人身売買を疑われ、税関や警察、医者や看護師、航空会社の幹部が呼ばれたが、山ほどの質問を受けた後に人身売買ではないことが証明された。
トルコ航空の職員はとても親切で、赤ちゃんのためにベビー服を買ってくれたとフリーマンさんは投稿している。
「ほとんど裸の状態だった赤ちゃんのために、トルコ空港の人たちは初めてのベビー服を買ってくれました!」
フリーマンさんはトルコ航空のシャトルでアメリカ領事館まで送ってもらい、出産証明書やパスポート申請などの手続きをした。その後病院で検査を受け、2週間トルコで過ごして3月末にナッシュビルに帰った。
インディペンデント紙によると、フリーマンさんが家族に出産を知らせたのは、出産4日目。妊娠も伝えていなかったため、当然驚かれたという。ショックを受けてはいたものの、全員が大喜びしてくれた。
「到着した途端に、みんながお祝いを持って訪ねて来てくれました」とフリーマンさんは同紙に語る。
「2018年3月7日にトルコのイスタンブールで生まれた、ザヴィア・アタ・フリーマンです!」
「今日で、生後7週間」
フリーマンさんは今回、無事に赤ちゃんを産んだが、一人での出産は危険だと専門家は指摘する。
「一人での出産は、母親と赤ちゃんに危険を及ぼすリスクはあります。プロのサポートと熟練した医療者の手助けなしに、自分で出産をしないように強く勧めています」と英国助産師会の広報はインディペンデント紙に述べている。