1月20日(日本時間21日)に開かれるジョー・バイデン氏の大統領就任式を前に、アメリカの首都ワシントンD.C.では、これまでの就任式ではなかったほど厳しい警備体制が敷かれている。
就任式当日には、これまでの少なくとも約2.5倍にあたる2万5000人の州兵の配置が予定されており、すでに約7000人の州兵が武器を手にしてワシントンD.C.の警備に当たっている。
道路や地下鉄の駅が封鎖されており、ワシントンD.C.周辺には2メートルを超えるフェンスが作られた。ホワイトハウス周辺には防御線も張られている。
さらに、通常であれば新大統領の就任演説を聞くために多くの人が集まるナショナルモールは、1月15日から就任式のある21日まで閉鎖された。
厳戒態勢の理由は、ワシントンD.C.で1月6日に起きたトランプ大統領の支持者による暴動だ。
トランプ大統領は11月の大統領選挙の後、「選挙に勝ったのは自分だ」という根拠のない主張を繰り返してきた。そしてトランプ氏の言葉を信じる支持者らが1月6日に連邦議事堂に侵入し暴動を起こした。
この暴動では5人が亡くなり、大勢のトランプ氏支持者が逮捕された。暴徒の中には議員の暗殺を企てていた者もいる、とFBIは警告している。
トランプ氏支持者による暴動は、就任式当日やその後も起きうると考えられている。
FBIのクリストファー・レイ長官は14日、「懸念すべき内容のイベント開催に関するやりとりが、オンライン上で行われている」と述べ、警戒感を表した。
またワシントンD.C.では15日に、拳銃や約500発以上の銃弾を所持していたバージニア州在住の人物が逮捕された。
ソーシャルメディアや航空業界も、就任式前にセキュリティを強化している。
Facebookは15日に「就任式当日にワシントンD.C.近辺で開催される集会のFB上での告知を禁止し、就任式に関連するイベントで同社の規約に反するものは削除する」と発表した。
また複数の航空会社が、ワシントンD.C.行きのフライトで預け入れ手荷物に武器を入れることを禁止するなど、セキュリティ強化策を導入している。
多くの州兵がワシントンD.C.の警備に当たる一方で、内部関係者や警備に当たる軍人による新大統領への攻撃も懸念されている。国防省関係者は17日、「警備に当たる2万5000人の州兵全員の入念な調査を、FBIが実施している」とAP通信に明らかにした。