「地獄の門」と呼ばれる、燃え続ける巨大な穴を閉鎖せよ。1月7日の政府会議でトルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領が指示した。
■地獄の門とは?1971年、旧ソ連時代に掘削工事で誕生か
AFP通信などによると、「地獄の門」がある場所はトルクメニスタンの首都、アシガバートから北に約260キロほど離れたダルヴァザ村だ。
カラクム砂漠の中央部に当たる。幅は60メートル、深さは20メートル。天然ガスが絶え間なく沸くことで24時間燃え続けており、トルクメニスタンの観光名所の一つになっている。
この穴がいつ生まれたのかは不明確だが、数十年にわたって燃え続けているのは確実とみられる。旧ソ連時代の掘削工事で誕生したという説が有力だ。
現地の英文ニュースサイト「トルクメンポータル」によると、「地獄の門」が誕生したのは1971年。旧ソ連の地質学者が、天然ガスが地下にたまっていることを発見して掘削したところ、地下の空洞の上層にある地面が崩壊。ガスで満たされた大きな穴が空いた。天然ガスの流出によって人や動物が健康被害を受ける事態を避けるために、地質学者が穴に火をつけた。時間とともに火は収まるはずが、現在も燃え続けているという。
一方で、BBCはトルクメニスタンの地質学者の話として「巨大な穴は1960年代に形成され、火が燃えるようになったの1980年代になってからだ」という別の説を紹介している。
■大統領が指示した内容は…
トルクメンポータルは1月7日の政府会議での、ベルディムハメドフ大統領の発言を伝えた。
大統領は「地獄の門」が燃え続けていることによって、地域の生態系と住民の健康に悪影響を及ぼしていると指摘。また、国の繁栄のために利益を得ることができるはずの天然ガスを消費していると警告したという。
そこで、燃料問題を担当するシャヒム・アブドラフマノフ副首相に対して、科学者や外国の専門家に依頼して、「地獄の門」を閉鎖する解決策を見つけるように指示したという。
ロイター通信によると、ベルディムハメドフ大統領は2010年にも、地方自治体に対して炎を消す方法を見つけるよう命じていたという。
トルクメニスタンは天然ガスを豊富に産出することで知られており、埋蔵量は世界第4位だ。