新型コロナウイルスに意図的に感染したチェコのフォーク歌手が1月16日、亡くなった。
死亡したのはバンド・Asonanceのボーカル、ハナ・ホルカさん。Asonanceはウェブサイトで、ホルカさんの死を伝えている。
ワクチンより感染を選んだ
チェコでは、レストランや文化施設を利用する際に、ワクチン接種証明書もしくは最近感染して回復したことを示す証明書の提示が必要だ。
ホルカさんは1月14日、SNSで「新型コロナウイルスに感染して、回復した」述べ「これで映画館やサウナ、コンサート、そして海にもいける」と報告していた。
しかしBBCによると、ホルカさんは1月16日の朝に気分が良くなったと言って散歩に出かけた後、背中に痛みを感じて横になった。
その後、容体が急変。息子のジャン・レックさんは「約10分ほどで、すべてが終わりました。母は窒息死した」とBBCに明かした。
レックさんによると、ホルカさんはクリスマス前に夫と息子が新型コロナウイルス感染した際に、故意に自分にうつるような行動をとった。
AFPによると、レックさんは「母は私たちと生活し続けました。ワクチン接種より感染を選んだのです」と公共ラジオで語った。レックさんとホルカさんの夫は、ワクチン接種していた。
家族よりワクチン反対派を信じた
レックさんはラジオで、地元のワクチン反対運動のリーダーが、ホルカさんにワクチンを接種しないように説得したと述べている。
「誰が母に影響を与えたかわかっています…。母が家族よりも他人を信じたのが悲しい」
また、ホルカさんはただ偽情報を信じたのではなく、感染によって抗体を作るという考えからワクチンを受けなかったのだという。
レックさんは「母は、ワクチンを接種するより新型コロナに感染した方がいいという哲学を持っていました。マイクロチップが入っているといった陰謀論を信じていたわけではなかった」と、BBCに述べている。
レックさんはワクチンより感染を選んだ母親の死を伝えることで、他の人たちのワクチン接種を促したいと願っている。