氷上にストーンを投じ、それをブラシを使って前に進めるウィンタースポーツ、カーリング。
頭脳を使い、先を読みながら戦略を立てる競技であることから、氷上のチェスと呼ばれています。
カーリングは、どのようなルールでプレーするのでしょうか。4人制カーリングの得点方法や見どころをまとめました。
カーリングのルール 得点方法は?
カーリングは、重さ約20キロの石(ストーン)を、約40メートル先にある円(ハウス)中心のなるべく近くに置くことを競うスポーツです。
1回の攻守は「エンド」と呼ばれ、試合は10エンド制です。
1エンドでは各チームが交代で8回、合計16回ストーンを投げます。そして10エンドの総得点で、勝敗が決まります。
各エンドで得点が認められるのは、ハウス中心の一番近くにストーンを置いたチームだけです。そして、相手チームのストーンより内側にあるストーンの数が得点になります。
例えばこの場合は、黄色ストーンのチームが1得点したことになります。
また、ハウスの外にあるストーンは得点になりません。
🥌基本ルールまとめ
ハウス中心の一番近くにストーンを置いたチームだけが得点でき、相手チームのストーンより内側にあるストーンの数が得点になる
1試合10エンド制。1エンドでは、各チームが交代でストーンを8投、合計16投する
投げる順番は?
カーリングのチームは、4人で構成されます。
ストーンを投じる順番によって、それぞれ「リード」「セカンド」「サード」「スキップ」と呼ばれています。また、補欠「リザーブ」が1人認められます。
4人の選手は、1エンドでそれぞれ2回ずつストーンを投げます。
作戦を組み立てて指示を出すのは、多くの場合スキップです。いかに多くの得点を取るか、もしくは失点を抑えるか。スキップは試合展開を読みながら、戦略を考えます。
🥌ストーンを投げる順番と役割
リード:1・2投目を投げる。投球時以外は主にスイーパー(ブラシで氷をこする)
セカンド:3・4投目を投げる。投球時以外は主にスイーパー
サード:5・6投目を投げる。スキップが投げる時にはハウスから指示を出す
スキップ:7・8投目を投げる。投球時以外は、作戦を立ててハウスから指示を出す
スキップの立てた戦略に沿ってストーンが投じられ、2人のスイーパーが氷をブラシでゴシゴシ磨いて、ストーンのスピードや方向を細かくコントロールします。
カーリングシートの氷の表面には、ペブルと呼ばれる氷の細かい粒があり、磨くことでペブルを溶かしてストーンの進む距離を伸ばしたり、曲がり方を調整したりできるのです。
スキップがストーンを投じる時には、サードが作戦を考えます。
カーリングの見どころ
カーリングは、最後のストーンを持っている後攻が有利なスポーツです。そして前のエンドで得点したチームが、次のエンドでは先攻になります。
そのため、先行と後攻では攻め方が異なります。
後攻チームが狙うのは、複数点の獲得。
先攻チームは、次のエンドを後攻で迎えるために、相手の得点を1点に抑える方法を考えます。
また試合展開によっては、両チームに得点が入らない「ブランク」に持ち込もうとするケースもあります。そして先攻チームに得点が入ることを「スチール」と呼びます。
カーリングではストーンの配置が勝利の鍵になります。
選手たちは相手のストーンを弾き出したり、相手のストーンの後ろに自分たちのストーンを隠したり、相手の邪魔になる場所にストーンを置いたりと、様々な作戦を考えます。
1投で形勢が逆転することもあり、技を駆使した両チームの頭脳戦が、カーリングの見どころです。
他にも、知っておきたいショットやルールをご紹介します。
🥌ショットの名前
テイクアウト:相手のストーンを弾き出す
ダブル・テイクアウト:2個弾き出す
ドロー:ハウス内の置きたい位置にストーンを止める
フリーズ:相手のストーンにぴったりつくようにして止める
ヒット・アンド・ステイ:すでにあるストーンに当て、投げたストーンはその場に止める
ヒット・アンド・ロール:すでにあるストーンを弾き出し、投げたストーンを別の場所に止める
カム・アラウンド:すでにあるストーンの後ろに回り込む
🥌その他のルール
フリーガードゾーン:各エンドで、両チーム合わせて5投目(先攻チームの3投目)までは、ハウスの手前にある「フリーガードゾーン」にあるストーンを弾き出せない。ストーンがたまることで、面白い展開が期待できる。
コンシード: このまま競技を続けても勝てないと判断した時に、相手の実力に敬意を表して、負けを認めること。負けているチームが相手に握手を求め、握手を交わした時点で試合終了となる。
持ち時間は38分:各チームには、戦略を考えるための「シンキングタイム」が38分与えられている。相手が投げた後、ストーンを投げる選手がティーラインに達するまでの時間が計測される。最後のストーンを投げるまでにシンキングタイムを使い切ると、負けとなる。
ハーフタイム:第5エンド終了時には、5分間のハーフタイムが設けられる。この間に選手たちは軽食を取りながら後半の作戦を話し合うことも。2018年の平昌オリンピックではこのハーフタイムが「もぐもぐタイム」と話題になった。
※混合ダブルスでは一部ルールが異なります
フェア精神を大切にするスポーツ
カーリングで最も大切にされているのは、フェアプレーの精神です。
競技規則には、「勝つためにプレーしますが、決して相手を見くだしたりしません。真のカーラーは相手の気を散らしたり、相手がベストを尽くそうとするのを決して妨げたりしません。不当に勝つのであればむしろ負けを選びます」と書かれています。
カーリングでは審判は基本的に試合に介入せず、選手同士の信頼や相手への尊敬のもとに、ゲームを進めます。
誤ってストーンに触れた場合などは、選手自らが申告します。
2021年のカーリング日本選手権女子決勝、ロコ・ソラーレと北海道銀行の試合では、北海道銀行の近江谷選手が、ストーンにブラシが当たったことを自己申告しました。
フェアプレーを重視し、相手をリスペクトする姿勢。それもカーリングの見どころの一つです。