横断歩道のデザインが変わった4つの理由

あなたはいつ気づきましたか?

横断歩道のデザインが変わったことに、あなたはいつ気づきましたか? 両サイドに側線がある「ハシゴ型」から、側線なしの「ゼブラ型」への変更が決まったのは今から26年前の1992年。以来、補修の際に変更を行ってきました。横断歩道のデザインはなぜ変更されたのでしょうか。

警察庁の回答には4つの理由

横断歩道だけでなく、道路標識なども変更されたのは、1992年11月1日に施行された「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令」(平成4年総理府令・建設省令第1号)によります。

その「命令」には、横断歩道のデザインを変更した理由が記載されていなかったので、警察庁広報課に質問しました。すると、広報課を経由して同庁交通規制課から回答があり、4つの理由があげられていました。

【警察庁交通規制課からの回答】

・けばけばしさがなくなり、都市美観上効果がある

・水はけが良く標示面でのスリップを防止できる

・通過車両によって側線が消える弊害がなくなるため、補修が容易となる

・設置にかかる時間が短縮され、道路交通に与える影響が小さくなる

水はけがよくなる

第1の理由の「都市美観上効果がある」は、そう言われれば確かに横線だけの「ゼブラ型」はすっきりしていますね。

2つ目の理由「水はけが良く」というのは、逆に言えば縦線付きの「ハシゴ型」は水はけが悪かったのです。横断歩道の白い塗料は厚みがあるため、ハシゴ型だと塗料が塗られていないくぼみに雨水がたまります。塗料の表面はツルツルしているので、そこに雨水がかかるとスリップすることもあるそうです。

「ゼブラ型」横断歩道は水はけ効果が高い

降雪地帯でスパイクタイヤを履いていた車が多かった頃は、ハシゴ型横断歩道のくぼみも深く、「水たまり」状態だったといいます。水はけを良くした「ゼブラ型」の横断歩道は、事故防止にも寄与しているのですね。

補修の時間も経費も節約

横断歩道のデザインを変更した3つ目の理由は「側線が消える弊害がなくなる」、4つ目の理由は「設置にかかる時間が短縮」です。側線をなくしたのですから、消える心配はないし、補修の際も側線を描かないのですから作業の時間も経費も節約できます。なお、横断歩道の横線は45〜50cmで、これは「ハシゴ型」も「ゼブラ型」も同じです。

ちなみに、ビートルズの『アビー ロード』のジャケットになった英国の横断歩道も「ゼブラ型」、米国は「ゼブラ型」もあれば、側線だけで横線がない横断歩道もあります。

ビートルズ『アビーロード』の象徴的な横断歩道

なお、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしているとき、車は一時停止しなければならないと道路交通法で定められています。

しかし、JAF(日本自動車連盟)が行った全国実態調査で、9割以上の車が一時停止しないことが判明しました。違反者には反則金や違反点数が科されます。ドライバーは交通マナーを守ってくださいね。

(2018年5月22日「ウェザーニュース」より転載)

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