リオオリンピックで4つの金メダルを獲得し、圧巻のパフォーマンスで人々を魅了し続ける体操選手のシモーン・バイルス。
彼女のファンにとって、アメリカ版「VOGUE」8月号は喜びと同時に、複雑な気持ちを抱くものになったかもしれない。
バイルスは同誌の表紙を飾り、インタビューでは体操連盟元ドクターのラリー・ナサールによる性的虐待事件や、ナサールの虐待が明るみになった際にうつ病に苦しんだこと、そしてアスリートを守らなかった体操連盟への怒りなどを率直に語っている。
しかし写真は必ずしも好意的に受け止められていない。
SNS上で批判されているのは、照明の使い方と写真家の起用方法だ。
「Vogueは黒人の写真家を使うべきだった」「黒人の肌をもっと理解した写真家を使って欲しい」――そういった声が、投稿されている。
ファッション業界にもっと多様性と機会の平等を
写真を撮影したのは、著名な写真家のアニー・リーボヴィッツだ。
ニューヨークタイムズ国内写真エディターのモリガン・マッカーシーは「私はシモーン・バイルスが大好きで、彼女が表紙を飾っていてとても嬉しい」と述べる一方で、表紙の色調や黒人の写真家を起用していないことへの強い不満を綴っている。
中には「リーボヴィッツは絵画的な写真を撮影する写真家であり、彼女は意図してこのような写真をとったのだ」と擁護する人もいる。しかし多くは、黒人写真家を起用しなかったVogueに対して強い疑問を投げかけている。
5月に黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察に首を押さえつけられて亡くなった後、人種平等を求める「Black Lives Matter」ムーブメントが再燃した。
この動きはファッション業界にも広がっていて、黒人のスタイリストやモデル、ファッション写真家がVogue表紙を作ってSNSに投稿する「Vogue チャレンジ」も生まれた。
ファッション業界に多様性と機会の平等を求める動きが広がる中で、多くの人が白人中心の視点を変えるようSNSで求めている。
「シモーン・バイルスは、アニー・リーボヴィッツと質の悪い照明じゃなくて、もっと良い待遇を受けるべき」
「Vogueチャレンジに才能ある黒人たちが加わったのに、Vogueはこのシモーン・バイルスの写真に、黒人の写真家を雇おうとは思わなかったのだろうか?」
「Vogueは黒人の写真家を雇うべきだと思う」
「アニー・リーボヴィッツ好きなんだけど、これはノーだな」
「(Vogueの写真は)照明が肌をくすませて、彼女の魅力を台無しにしている。これはジェームス・マカリがとった写真。自然光を使っていて、シモーンの肌を輝かせ、肌の色を生かしている」
「照明が最悪だな。せっかくシモーンなのに!」
「アニー・リーボヴィッツ好きなんだけど、黒人の撮影の仕方をよく知っている黒人の写真家を雇って欲しいな」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。