「水!」
たった一言だが、この言葉には大きな影響力があったのかもしれない。
6月14日に開かれたEURO2020 (サッカー欧州選手権)の記者会見で、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手が、目の前に置かれていた2本のコカ・コーラのボトルを撤去。
水が入っていると思われるボトルを記者席に向かって掲げて、「水!」と短くも力強くアピールした。
ロナウド選手は、2020年のGoalのインタビューで、最善の状態でプレーするために食べ物に注意を払っており、糖分の多い食べ物を避けてアルコールや炭酸飲料は飲まないと答えている。
コカ・コーラ撤去は、ロナウド選手にとっては好みを強くアピールしただけのものだったのかもしれないが、Instagramフォロワー約3億とカリスマ的人気を誇る同選手の行動は、EURO2020のスポンサーであるコカ・コーラにダメージを与えた可能性がある。
ロナウド選手の行動と株価に関係があるかどうかは不明だが、ロナウド選手がコカ・コーラのボトルを撤去した直後、コカ・コーラの株価は下がり、時価総額は約40億ドル(約4424億円)下落した。
ロナウド氏の行動について、EURO2020を主催する欧州サッカー連盟は、選手はそれぞれ好むものを飲むことができるとしている。
ガーディアンによると、同連盟は声明で「コカ・コーラは、水やスポーツドリンク、ジュース、コーヒー、紅茶、そしてコカ・コーラなど、様々な好みや必要にあわせた飲み物を提供しています。選手たちは大会期間中、望むものを飲むことができます」「記者会見では、選手にはコカ・コーラやコカ・コーラ・ゼロだけではなく、水も提供され、全ての人が好みにあわせた飲み物を選べます」と説明している。
飲み物撤去、ポグバ選手も
選手による飲み物撤去は、ロナウド選手だけにとどまらない。
翌15日には、フランス代表のポール・ポグバ選手が、大会のオフィシャルスポンサーである、ハイネケンのノンアルコールビールを記者会見の席で撤去した。
ポグバ選手はイスラム教徒で、アルコールを飲まない。
同選手の行動について、ハイネケンは「飲み物の選択については、全ての選手の決定を尊重します」とCNNにコメントしている。
選手によるドリンク拒否以外にも、EURO2020ではスポンサーの頭を悩ませるような出来事が起きている。
15日にドイツ・ミュンヘンで開かれたドイツ対フランスの試合前には、環境保護団体グリーンピースのパラシュートが、コントロールを失ってスタジアム内に落下した。
同団体は、大会のスポンサーであるフォルクスワーゲンに、ガソリン車とディーゼル車の販売を止めるよう求めていて、パラシュートには「石油を蹴り出せ」と書かれていた。