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同じツルではなく、人間をパートナーに選んだマナヅルのウォルナットが、腎不全のために42歳の生涯に幕を下ろした。
ウォルナットが暮らしていたアメリカ・ワシントンD.C.のスミソニアン国立動物園が1月31日に発表した。
人間の手で育てられたウォルナットは、飼育員のクリス・クロウさんをパートナーとしていたことで有名だった。
スミソニアン国立動物園によると、ウォルナットは、クロウさんに「ぞっこん」で他の鳥とはつがいにならなかった。
クロウさんも「(ウォルナットが)パートナーに選んだのは私で、お互いにとって重要な存在でした」とワシントンポストに語っている。
スミソニアン国立動物園によると、野生だったウォルナットの両親は1980年代初めに違法に捕獲され、ウィスコンシン州に拠点を置く国際ツル財団に保護された。
ウォルナットは1981年夏に誕生し、人の手で育てられたため、人間に対する「刷り込み」が起きたという。
動物園は、絶滅危惧種であるマナヅルの子孫を増やそうと計画したものの、ウォルナットが他のツルを嫌い、パートナー候補のオスを攻撃したために人工授精が検討された。
飼育員のクロウさんが、オスヅルのように腕を羽のようにはためかせて踊り、餌や巣作りの材料を提供したところ、ウォルナットの信頼を得ることができたという。
通常、人工授精をする時にはツルの体を押さえる必要があるものの、クロウさんは、「ウォルナットは求愛表現を始め、羽を広げて立ち、交尾を求めた」とワシントンポストに語っている。
クロウさんはオスのマナヅルから採取した精子を使って人工授精に成功。最終的にウォルナットは2005〜2020年の間に、8羽の子どもを残した。
国立動物園によると、人間に飼育されたマナヅルの平均寿命は15年で、42歳という年齢はその約3倍に当たる。
クロウさんは「ウォルナットは快活な性格の、ユニークなツルだった」と述べ、20年に及ぶパートナー関係への感謝を伝えている。
「常に自信を持って自己表現する、熱心で優れたダンサーでした。困難に直面した時にも毅然としていました」
クロウさんは、ウォルナットの物語が、マナヅルの絶滅の危機を知ってもらう助けになったとも語っている。
「ウォルナットのストーリーに心を打たれた人たちに、マナヅルの存続は私たち人間が湿地生息地を保護できるかどうかにかかっているということを知って欲しいと思います」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。