トランプ大統領が「中国ウイルス」とツイート。米中の批判合戦の末に…【新型コロナウイルス】

新型コロナウイルスの感染が全米に広がり、経済が大打撃を受ける中、トランプ大統領の対応にも批判が上がっている。選挙を控え、国民の不満を逸らしたい考えも。
国家非常事態宣言を行うトランプ大統領(3月13日)
国家非常事態宣言を行うトランプ大統領(3月13日)
AFP=時事

アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス(Chinese Virus)」と呼び、物議をかもしている。

ニューヨーク株式市場が史上最大となる前週比2997ドル安で取引を終えた3月17日午前(日本時間)、トランプ大統領は公式Twitterを更新。「アメリカは、特に中国ウイルスの影響を受ける航空会社などの業界を強力にサポートします。私たちはこれまで以上に強くなります!」とツイートした。

このツイートに対し、「まさにこの瞬間を恐れていた」「人種差別主義者だ」などの批判が上がっている。

新型コロナめぐる米中の批判合戦

新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、アメリカと中国の間で批判合戦が続けられている

3月2日には、アメリカのテレビ番組で、司会者のジェシー・ウォターズ氏が「コロナウイルスは中国で発生したものなのに、シンプルな“アイムソーリー”の一言さえ聞いていない」などと謝罪を要求。

これに対し、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官が記者会見の場で「ウイルスの発生場所には未だ定説はない」と反撃した。

3月10日には、トランプ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだ支持者の投稿をリツイート。

3月11日には、ホワイトハウスのロバート・オブライエン大統領補佐官が中国での新型コロナウイルスの流行について「発生が隠蔽された」と指摘した。

3月12日には、趙報道官が、新型コロナウイルスについて「アメリカ軍が武漢に持ち込んだ可能性がある」と言及。デービッド・スティルウェル米国務次官補が中国の崔天凱駐米大使を国務省に呼び、抗議した。

新型コロナウイルスの感染が全米に広がり、経済が大打撃を受ける中、トランプ大統領の対応にも批判が上がっている。選挙を控え、国民の不満を逸らしたい考えがすけて見える。

WHO「差別や偏見に利用されないように」

新型コロナウイルスによる感染症は、WHO(世界保健機関)によって「COVID-19(コービッド・ナインティーン)」と名付けられた。命名に当たっては、「地理的な場所や動物、特定の個人や集団を指していないこと」が重要視された。

WHOのテドロス事務局長は「名前がいわれのない差別や偏見に利用されることを防ぐことが重要だ」指摘している

注目記事