新型コロナウイルスが完全には収束しない中、災害が起きた場合にはどうすればいいのか。
2019年10月の台風19号では、多摩川下流域にある東京都内の自治体も大きな被害を受け、避難所が満員になる事態も起きている。
非常時に備え、準備しておくべきものは?「過密」になりがちな避難所はどうなるのか?
内閣府・消防庁では「新型コロナウイルス感染症が収束しない中でも、 災害時には、危険な場所にいる人は避難することが原則」として、5つのポイントをまとめている。
知っておくべき5つのポイント
①避難とは[難]を[避]けること。安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要はありません。
②避難先は、小中学校・公民館だけではありません。安全な親戚・知人宅に避難することも考えてみましょう。
③ マスク・消毒液・体温計が不足しています。できるだけ自ら携行して下さい。
④市町村が指定する避難場所、避難所が変更・増設されている可能性があります。災害時には市町村ホームページ等で確認して下さい。
⑤豪雨時の屋外の移動は車も含め危険です。やむをえず車中泊をする場合は、浸水しないよう周囲の状況等を十分確認して下さい。
避難方法は? 持ち物は?
東京都が新型コロナ対策を踏まえた風水害時などの避難についてまとめたページでは、「様々な避難行動があり、避難所へ行くことだけが避難行動ではありません」として、適切な避難行動を検討するように呼びかけている。
サイトでは5つの避難方法について説明し、それぞれの注意点を挙げている。
①在宅避難
住んでいる地域のハザードマップを確認の上、自宅が安全であれば在宅避難も可能です。いざというときのために必要な物を備蓄(最低3日間、1週間やその先を見据えた分)しておくことが重要です。
②自主避難
住んでいる地域のハザードマップを確認し、避難が必要であれば、自治体の避難情報発令前に親戚や知人宅に早めの自主避難を検討することも重要です。
③避難所
避難所への避難が必要になった場合は、マスク、体温計、水・食料、薬、消毒液等の衛生用品は各自で持参し、避難所における感染防止対策を徹底しましょう。
④垂直避難
屋外避難が危険な場合などは、建物内の安全な部屋や近くの頑丈な建物の上層階等へ避難しましょう。
⑤車中泊等
車での一時避難(車中泊)等をする場合、必ず駐車場所の安全を確認し、エコノミークラス症候群等にもご注意ください。
避難所に行く場合の持ち物として「マスク、体温計、水・食料、薬、消毒液等の衛生用品」を挙げている。
また、内閣府が公表している資料の中では、「体温計、マスク、消毒液、上履き(スリッパ、靴下など)、ゴミ袋」を持参することが推奨されている。緊急の場合には、これらの準備より避難が優先だ。
避難所の「密」は避けられる?
内閣府の「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対応のポイント【第1版】」では、避難所の運営方法などをまとめている。
避難所のレイアウトの例では、感染対策やプライバシー保護の観点から、パーテーションやテントを使うことを推奨している。
テープを床に貼って区画を作る場合には、1区画を1家族として、区画同士を1〜2メートル空けることを提案している。濃厚接触者専用室のレイアウト案なども示されている。
資料では、避難所として、ホテルや旅館を活用する方法も説明しており、すでに対応を始めた自治体もある。
東京都は6月26日、災害時の避難所としてホテル・旅館等を活用するための協定を関連団体と締結したことを発表した。
協定の目的を「新型コロナウイルス感染症拡大防止等の観点から、避難所における『3密』を避ける等の対策として、可能な限り多くの避難所を確保するため」と説明している。