中国の武漢市を中心に、世界で感染が拡大している新型コロナウイルス。日本でも20人の感染が確認されており(2月3日8時時点)、指定感染症に指定され、感染者の入国拒否などの水際対策や、店頭のマスクが売り切れるなどの事態が発生している。
東南アジアのシンガポールでも、18人(2月3日8時時点)の感染者が報告されており、過去2週間以内に中国本土への渡航歴がある人などの入国を禁止するなど、積極的な対策を行っている。また日本同様、店頭でマスクが売り切れる事態が発生している。
この状況を受けてシンガポール政府は1月29日、「健康ならマスクをしないで」と自粛を求める勧告を発表。
「マスクは、体調が悪く、咳や鼻水など呼吸器官の症状があった場合のみ着用してください」
「健康な人たちはマスクを着用する必要はありません。マスクはウイルスの拡散を減らす助けとなるものです」
「マスクの買いだめをする必要はありません。それにより、本当に必要とする人が入手できなくなってしまいます」
と記載されている。
また、同内容が書かれたイラストには、
「みなさんがマスクを適切に使用すれば、倉庫や政府の備蓄に、十分なマスクの貯蓄があります」とつづった上で、正しいマスクの着用方法も示されている。
この勧告は、現地紙にも折り込まれた。
この内容に対しSNSでは、
「体調が悪いのにマスクをしない人もいるから自分がしないと」
「このような勧告は無責任。花粉症とかで着用しても『感染者』として誤解されるかもしれない」
「健康ならマスクしないで... って。これを言っている人は、公共交通機関を使っていない人だろう」
と不安を口にする人も多く見られた。
店頭で入手困難な状況となっているマスクー。この状況に対し、シンガポール政府は各家庭へマスクの配布を2月1日開始しており、9日までの間、各地域別に時間・場所が指定され、1家庭につき4枚のマスクが配布されている。Straits Times紙によると、現在は混乱などなく配布が行われているという。
日本では、政府は予防としてのマスクの着用について、「混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられます」としているが、屋外などでは、相当の混雑がない限りマスク着用による効果はあまり認められていない、と述べている。
日本国内でもマスクの需要が高まっており、一部入手困難な状況が続いている。