アメリカの首都ワシントンD.C.で1月6日、バイデン次期大統の就任確定に抗議するトランプ大統領の支持者らが連邦議会議事堂に侵入し、一部で暴動に発展した。
侵入者の中で一際目を引いたのが、バッファローのようなツノ付き毛皮帽をかぶり、顔を赤と白と青にペイントした上半身裸の人物だ。
アリゾナ・リパブリックによると、この人物はアリゾナ州出身のジェイク・アンジェリ氏。
アンジェリ氏は熱心なトランプ大統領支持者でQアノン信者として知られる。少なくとも2019年からトランプ氏支持集会などでQアノンの陰謀説を叫んできたという。
2020年2月には、アリゾナ州フェニックスで開かれたトランプ氏の支持集会で「Qが私をつかわした」と書かれたサインを掲げた姿が捉えられている。
また5月には、アリゾナ・セントラルの取材でメディアへの不信感を語ると同時に「トランプ大統領は良い仕事をしている」と大統領への感謝を述べた。
アンジェリ氏は他にも、新型コロナウイルス感染防止のための店舗や学校閉鎖に抗議するデモや、大統領選挙でのバイデン氏勝利に対する抗議デモにも姿を見せてきた。
トレードマークのツノ付き毛皮帽やペイントについて「目立つためにこのような格好をしている」とアリゾナ・リパブリックに話している。
Qアノンとは?
アンジェリ氏が信奉するQアノンとは、「Q」と名乗る人物が2017年にインターネット掲示板4chanに書き込んだ投稿がきっかけとなって生まれた、陰謀論だ。
核をなす主張は「トランプ大統領は単なるアメリカの大統領ではなく、小児性愛者のリベラルエリートたちと闘い、世界を救うヒーローだ」というもの。
信者たちは「アメリカは、児童売春組織を運営する民主党議員やハリウッドや財政界の大物らが運営する“闇の政府”に支配されており、トランプ大統領はその闇の政府と秘密裏に戦っている」と信じている。
全く根拠のない主張だが、信者は世界中に広がっている。また、Qアノンが原因の暴力事件や殺人事件も起きている。
大統領選挙の前、トランプ大統領はQアノン信者について「彼らは国を愛していると聞いている」「彼らが私のことを好きでいてくれることに感謝する」と、陰謀論を支持するような発言をしていた。
そんなトランプ大統領はQアノン支持者にとってヒーローであり、トランプ大統領の支持者の約半数がQアノンを信じているという調査結果もある。
そのためそのトランプ氏が大統領選挙で破れることになった場合、Qアノン信者たちによる、暴力行為が起きることも予想されていた。
デイリービースト記者ウィル・ソマー氏のツイート:連邦議会でのカオスには大勢のQアノン支持者たちが参加していました
1月20日の政権交代まで約2週間となったが、アメリカでは今後のトランプ支持者やQアノン信者たちの動きに予断を許さない状況になっている。