アメリカ・サンフランシスコ市に設置された慰安婦像を巡り、大阪市が10月2日、サンフランシスコ市長宛てに姉妹都市提携解消の公開書簡を送付したと発表した。
だが、サンフランシスコ市は4日、「一人の市長が、両市の人々、特に60年以上存在していた人々の間に存在してきた関係を一方的に終わらせることはできない」などとする市長の声明を発表した。
両市は1957年から姉妹都市の関係を続けてきたが、2017年9月にサンフランシスコ市内に設置された慰安婦像の碑文に刻まれた文言「性奴隷にされた何十万人の女性」を巡り、吉村洋文・大阪市長が「日本政府の見解と違う」と抗議。さらに慰安婦像が同市に寄贈されることが決まると、市有化を撤回しない限り姉妹都市関係を解消するとの考えを同市に伝えていた。
サンフランシスコ市に姉妹都市解消を告げた手紙ではこう経緯を説明している
「慰安婦像と碑をサンフランシスコ市の公共物でなくし、両市民が友好的に交流できる環境を整えていただくことを期待し、7月に書簡を送付させていただいたところですが、私や大阪市民の希望は非常に残念ながら、貴殿には届かなかったようです」
その上で姉妹都市解消の理由を次のように述べている。
「この間の事実経緯、貴市の決定により、長年にわたって相築き上げてきた友好関係の礎である両市の信頼関係は根本から崩れたと言わざるを得ず、これ以上、姉妹都市関係を継続することはできないと判断するに至りました」
一方、ブリード市長が4日に公表した声明は次の通り。
一人の市長が、両市の人々、特に60年以上存在していた人々の間に存在してきた関係を一方的に終わらせることはできません。
私たちの目には、サンフランシスコと大阪の姉妹都市の関係は、今日も人々を結びつけている絆を通じて続いているように見えます。
そして、サンフランシスコは、二つの大きな都市の結びつきを強めることを楽しみにしています。
日本と日系アメリカ人は、サンフランシスコで独自の豊かな歴史があり、サンフランシスコに永続的かつ有益な影響を与えました。 サンフランシスコは、多様な都市になるための大事な要素である、ジャパンタウン地区がある3つの市のひとつです。
サンフランシスコの慰安婦像は、奴隷化と性的な人身売買の恐怖に耐えるように強制されたこと、そして現在もすべての女性が直面している闘争の象徴です。 犠牲者は私たちの尊敬に値するものです。この記念碑は私たちに忘れてはならない出来事や教訓を思い出させるものなのです。