社会的弱者の貧困。超高齢化社会。
希薄化する人間関係。地域の担い手をどう育てるか。
激変する社会の今後を見据えた教育。
子供の虐待。児童労働。子供の貧困。
地域の再生。地域の価値、経済循環をどう生み出すか。
人材の流動化をどう実現するか。
硬直化した働き方をどう変えるか。
自然災害にどう向き合うか。
多様性を受け入れ、互いを活かし合う社会にするには。
障がいの有無に関わらず、働きやすく暮らしやすい社会にするには。
資本主義を保ちながら持続可能性を追求するには。
テクノロジーやビッグデータ、AIで社会や生活を向上させるには。
100人の起業家が、次の100年を考える
グローバルな社会課題が山積している。多様な要素が複雑に絡み合っていて、なかなか簡単に解決できるものではない。だからこそ、立場の違う様々なプレーヤーがともに手を携えて協働していくことが重要だ。
100人の社会起業家が一堂に会し、次の100年に向けたアクションを考える。このほど、そんなイベントが東京・六本木で開かれた。
「Social Entrepreneur Gathering Collective Action for the Next 100 years」は、起業家の育成や支援を行うNPO法人ETIC.が主催。アメリカン・エキスプレスの日本開業100周年を記念したイベントだ。同社は社会起業家の育成に力を入れており、起業家やNPO法人のリーダー100人を招待した。
話題の「コレクティブ・インパクト」日本で根付くか?
社会課題を解決するためのアプローチとして近年注目されているのが「コレクティブ・インパクト」。行政、企業、NPO、教育機関など、様々な主体が共通のゴールに向かって協働し、社会課題の解決を効果的に進める方法だ。
個々のプレーヤーが別々の方向で行動するより、共通のイシューに対して互いに強みを生かし合うことで、大きなインパクトを起こすことができる。
ハーバード大教授で経営学者のマイケル・ポーター氏が設立した米国のコンサルティングファーム、FSG社が2011年に提唱した概念で、イベントでは同社からフィリップ・サイオン氏を招き事例を共有、日本での実践の可能性などについてディスカッションした。
ゲストコメンテーターのアメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本法人事業部門 ジェネラル・マネージャー副社長の須藤靖洋氏は「アメックスはスモール・ビジネス・サタデーという活動で米国政府を巻き込んでコレクティブ・インパクトを実践し、地域支援を行った実績があります。仕事は志だと思う。日本でも色々な問題をお互いにシェアして、世の中を変えていきたい」と話した。
ランチでは様々な社会課題をテーマにし、グループごとにより大きなインパクトを出していくために何ができるかをディスカッションした。
テクノロジーで「自分ごと」化
テクノロジーの進化で、社会やビジネスが激変している。社会を変えるための資源として、テクノロジーをどう活用していくかというセッションもあった。
執筆家・IT批評家の尾原和啓氏はバリ在住。「僕はバリにいながら、いろんなところで仕事ができている。ネットはすぐに時間と距離を超えられる。例えばニューヨーク・タイムズは紛争により家を失った子供達のリアルをVRコンテンツで配信している。世界の現状と同じ状況の中に身を置く努力をし、自分ごと化していくことが重要」と訴えた。
「次世代のリーダーを育てたい」アメックスが社会起業家を育成する理由
アメックスは2009年から、次世代を担うNPOのリーダーや若手起業家を対象としたリーダーシップ育成プログラム「アメリカン・エキスプレス・アカデミー」を創設。独自のカリキュラムで多くの社会起業家を世に送り出してきた。
イベントに参加した100人の社会起業家たち。実はその大半はアカデミーの「教え子」たちだった。
なぜアメックスが社会起業家の育成や支援に力を入れているのか。広報担当のエディ操副社長に聞いた。
エディ副社長は「アカデミーでは、リーダーシップ教育やサービス教育に力を入れてきました。アメリカン・エキスプレスでは、明日のリーダーを育成することが未来を作ることだと考えています」と話す。
また、「世の中には様々なイシューがあり、それぞれのプレーヤーが解決に向けて活動しています。卒業生たちの中でも同じような志を持つ方がいて、関連している活動が多数あります。それなら、みんながそれぞれのコンテンツでまとまってアクションを起こした方が、より大きなインパクトに繋がると思い、コレクティブ・インパクトに着目しました」とイベント開催の意義を語った。