キラリティーは、小分子からDNAの右巻きらせんまで、生命体の重要な特徴である。ラセミ混合物から単一のエナンチオマーを得ることは合成における基本的目標であるが、エナンチオマーの縮退性のために、どちらか一方のエナンチオマーに有利な平衡はあり得ない。今回T Bachたちは、同一化合物のラセミ混合物からの単一エナンチオマーの形成を可能にする光化学的脱ラセミ化を報告している。光を照射すると、キラル増感剤からアレン基質へとエネルギー移動が起こる。この過程は、2つのエナンチオマー間で異なるので、ラセミ体の片方のエナンチオマーだけが選択的に変換され、単一のエナンチオマーが得られる。
Nature564, 7735
原著論文:
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doi: 10.1038/s41586-018-0755-1
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