【UPDATE】アメリカの国防総省は2月4日、南部サウスカロライナ州の沖合の領海の上空で、米軍の戦闘機が「中国のスパイ気球を撃墜した」と発表した。バイデン大統領の命令を受けたもので、現地に住む人への被害を抑えるために海上で攻撃することになったという。
F-22ラプター戦闘機が、気球に9発のミサイルを発射。海岸から約47km離れた沖合に墜落し、負傷者はいなかったという。海上で気球の残骸を回収する方針だ。
中国政府は3日、この気球が中国から来たものと認めた上で「気象研究などに使われる民間のもの、偏西風の影響を受けコースから外れた」として軍事目的であることは否定していた。
■これまでの経緯。モンタナ州上空での撃墜は断念していた
アメリカ・国防総省は2月2日、機密情報収集を目的とした中国の気球がアメリカ上空を飛行中だと発表した。
ロイター通信によると、国防総省のパトリック・ライダー報道官が「政府が高高度の監視気球を発見し、追跡を続けている」と記者団に説明。今後も監視を続けると述べた。
ライダー報道官によると、気球は民間機の航路よりもはるかに高い高度を飛行しており、一般の飛行機に危険を及ぼすことはない。アメリカ政府は気球を発見した後、機密情報を保護するための措置を講じたという。
国防総省の高官の一人は、気球が中国のものだと確信しており「国民と国土を守るために必要なことをすべて行う」と述べている。
ただし、国防総省は地上にいる人々に危険を与える可能性があるとして、モンタナ州上空での気球の撃墜を断念していた。
AP通信によると、気球はアメリカ上空でこの数日確認されており、その場所の一つがモンタナ州だ。モンタナ州には、核ミサイルが収容されているマルムストローム空軍基地がある。
国防総省は、アメリカ上空でここ数年、情報収集を目的とすると見られる気球が何度か確認されているが、今回の気球はこれまでよりも滞在時間が長いという。