チリの議会は12月7日、通称「同性婚」で知られる結婚の平等を認める法案を、賛成多数で可決した。
法案は上院で可決された後、すぐに下院でも可決。結果は82-20(2人が棄権)と賛成が圧倒的多数を占めた。
現大統領のセバスティアン・ピニェラ氏は、同性婚を支持しており、法案に署名すると考えられている。
法案可決を受け、LGBTQ人権団体のイザベル・アモーさんは「ものすごく感動しました。冷静さを保つのが難しかったです。とても長い戦いだった」とブエノスアイレスタイムズに喜びを語った。
また、カルラ・ルビラール社会開発相も「今日は歴史的な日です。私たちの国で、同性婚が認められました。公正、平等、愛は愛だということが認められた一歩です」と述べている。
法案提出から4年での実現
チリでは、同性パートナーシップ制度にあたるシビルユニオンが2015年に法制化された。
しかし結婚と同等の制度ではなく、養子縁組など認められていない権利もあった。法案施行後は、同性カップルも養子縁組が可能になり、相続などのルールも整備される。
4年前の2017年には、当時のミシェル・バチェレ大統領が同性婚を認める法案を議会に提出したが、可決に至らなかった。
しかし、その後に大統領に就任した保守派のピニェラ氏が2021年6月、同性婚の早急な可決を目指すと発表。
ピニェラ氏は議会で「我々は、自由の価値観を深く浸透させる必要がある」と述べ、「その自由には愛する自由、愛する人と家族を築く自由です」「この自由と尊厳を保障する時が来ました。私たちの国に同性婚を認める時が来たのです」と訴えた。
チリが加われば、世界で31番目に
チリでは12月に大統領選が控えており、今回の法案で、左派連合の候補ガブリエル・ボリッチ氏は法案に賛成票を投じたが、右派のホセ・アントニオ・カスト氏は反対票を投じた。
しかしカスト氏は、議会が可決すれば署名する意向を示している。
NPO法人「EMA日本」によると、同性婚はこれまでに30の国や地域で法制化されており、チリが加われば31番目となる。
中南米ではアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、コロンビア、コスタリカや、メキシコの複数の州で婚姻の平等が認められている。