ジャパンハートの事業のひとつに「Smile Smile Project」というものがある。
このプロジェクトは、小児ガンの子どもたちを、好きなときに好きな場所へ連れていく!というのがコンセプトの中心となっている。
あるときはディズニーランド、あるときはキッザニア、そしてあるときはピクニック。
そこに医師や看護師が同行し、安心・安全を担保していくのが特徴だ。
毎年毎年、たくさんの子どもたちへたくさんの旅行をプレゼントしてきた。
中には、もう限界ギリギリの子どもたちもいた。残念ながらその日を待たずして亡くなってしまった子どもたちも少なくはない。
親は我が子の事を愛おしく思い、できる限り何でも、あらん限りの事をしてあげたいと思う。
そしてまた他人であっても、子どもたちのその姿を実際に一目見れば、何かしら力になってあげたいと思う。
ある女子高生は有名なB'zの大ファン。
ファンクラブにも入り、コンサートのチケットも手に入れる。
しかし、、、。
状態が思わしくなく、もう起き上がることもできない。
そんな自分、そんな状況、そして手元に虚しく残るコンサートチケット。
やけになる。
大切な人生の時間なのに、やけになり過ごさなければならない。
でも、彼女の主治医はあきらめなかった。
ジャパンハートに連絡をしたのだ。
そして主治医自らもこの子に付き添い、半ば強引に手押しベッドのままコンサート会場へ入った。
とうとう、B'zのコンサートに参加するというこの子の夢の時間を実現したのだ。
その子は、考えられないくらいにコンサート中を元気に過ごせた。
命をかけてでも行きたかったそのコンサート。
もしかしたら、、、。
それを実現した誰もが、その思いを抱えていたことだろう。
それをするべきだったか?やらざるべきだったか?
もしもの事態が発生していたらどうだったのか?
正解は誰にもわからない。
ただ、神様はそれを許してくれたようだった。
もう一人、この子も高校生の男の子。
新垣結衣さんの大ファン。
しかし、頭にできた小児ガンが再発。治療はかなり厳しいらしい。
せめて、この子の憧れの人であり、そして会うことが夢の新垣結衣さんに会えないのか?会わせてあげられないのか?
と、親がジャパンハートへ連絡をしてきた。
もしも私が医師ではない一人の若者だったとしたら、その子に会う勇気があるかな?
あなたに会うのが夢でしたと言われたら、どんな表情をしたらいいのだろう?
ましてや、小児ガンの治療をしている人は日本に15000人以上いて、そのうち何人もの人に会いたいと言われたらどうするのだろう?
一人目の子には会うだろうか?
でも、二人目、三人目の子には同じチャンスはあるのだろうか?
再現できないような事をしてもいいのだろうか?
それをすべきか、やらざるべきか?
どちらも正解ではなく、誤りでもないだろう。
今、この件は上手く進んでいない。
でも、スタッフ達は必死にこの子の夢を叶えようと動いている。
それを止めるような野暮な事は誰もしない。
どうすべきか?
理屈は確かにある。
人は頭で考え判断する。
しかし私たちは感情で動く。
これこそが、本来の人の姿なのだろう。
だから、できてもできなくてもただこの子の為に動きたいならば動く。
この子のために、せめて小さな奇跡が起こることを願う。
「この世は捨てたものじゃない」と、この子にも思ってもらいたい。
そして私たちも、そう思って生きていきたいから。