警視庁が提供する防犯アプリ「Digi Police(デジポリス)」が、異例のヒットとなっている。ワンタッチで助けを求める文字が表示される「痴漢撃退機能」や防犯ブザーが鳴る機能などを備えており、アプリのダウンロード数は24万6000件を超えた。(5月23日時点)
アプリは警視庁犯罪抑止対策本部が2016年3月に配信。iOS、Androidに対応している。
住んでいるエリアでの犯罪発生状況を知らせてくれる
アプリでは、「マイエリア」として住んでいる地域、通学している地域などを3カ所まで登録できる。(※対象エリアは警視庁管轄の東京都内のみ)
そのエリアでひったくりや通り魔、振り込め詐欺などの犯罪が発生したり、子どもへの声かけなど不審者情報があった場合、プッシュ機能やメールで通知がくる。
痴漢撃退機能、防犯ブザーも
特に注目を集めているのはワンタッチで警戒音を鳴らすことができる「痴漢撃退ブザー」と「防犯ブザー」だ。
アプリ画面右下にある「痴漢撃退」をタップすると、「痴漢です。助けてください」という文字が表示され、周囲の人に助けを求めることができる。
また、その画面をさらにタップすると、「やめてください」と被害を訴える音声が鳴る仕組みだ。
さらに、「防犯ブザー機能」も備わっている。こちらは画面をタップすると大音量の電子音が鳴る。
いずれもブザーを鳴らすと、登録している家族や親戚などのメールアドレス宛に、発信元のマップとともに「○○機能が使用されました」と自動でメールが届くようになっている。(※)
(※編集部注:ドメイン指定受信をしている場合、「@digipolice.jp」からメールを受け取れるよう設定してください。筆者がGmailアドレスを登録したところ、通知が迷惑メールに振り分けられてしまったため、Gmailでは迷惑メールの解除設定をしておきましょう)
警視庁によると、このアプリがきっかけになった逮捕事例などは今のところ把握していないという。
しかし、痴漢被害にあった時に体が硬直してしまい、声が出せなくなったり、抵抗できなくなってしまう人は多い。
スマホの簡単な操作で助けを求めることができるアプリの存在が心強く感じる人はいるはずだ。
「安全ピンで刺す」撃退法で論争
痴漢対策をめぐっては、加害者の手を「安全ピンで刺す」撃退法の是非を巡り、5月中旬ごろからTwitter上で論争が起きている。
この論争を受け、文具用品メーカーのシヤチハタ(名古屋市)が公式Twitterで「今現在Twitterで話題になっている社会問題の件ですが、早期に対応ができるようにします。ジョークではなく、本気です」と投稿。護身用に使える「痴漢ハンコ」の開発を検討していることを示唆した。
痴漢から身を守るためにできること
被害者の尊厳を踏みにじる痴漢行為。被害防止のためにどのような対策ができるだろうか。警視庁は以下のようにアドバイスする。
▼電車内でできる対策
・混雑の激しい車両はできるだけ避ける
・混雑する乗降口付近や、逃げ場のない場所に立たないようにする
・女性専用車両を利用する
▼被害に遭ってしまったら・さわっている手をつかみ、大声で周囲に助けを求める
・アプリの「痴漢撃退ブザー機能」を使用して、周囲に助けを求める
・駅係員、警察に被害を届け出る