他の作品のキャラクターを悪役として描いているという指摘が相次いでいた漫画が連載中止になった。この件に関して、モデルになった作品の一つと見られる『転生したらスライムだった件』の原作者は「編集部より謝罪をお受けしました」と報告した上で、「パロなどを行うにしてもやり過ぎないように」と苦言を呈した。
■『チートスレイヤー』とは?
連載中止が発表されたのは6月9日発売の「月刊ドラゴンエイジ2021年7月号」から連載が始まった『異世界転生者殺し‐チートスレイヤー‐』。原作者は『賭ケグルイ』で知られる河本ほむらさん、作画は山口アキさん。近年のライトノベルで主流となった「異世界転生」という設定をモチーフにしていた。
「異世界転生」モノの作品では、現実世界で生きてきた男女が交通事故などで死に、ファンタジーの世界に生まれ変わって特殊な能力を身につけて活躍するというパターンが多い。
しかし、『チートスレイヤー』ではこうした「転生者」が悪役として位置づけられている。第1話は、ある男性が、自身の幼なじみを殺害した「転生者」に復讐するという筋書きになっていた。
「ベストナイン」と呼ばれる転生者9人のグループが作中で描かれるが、既存のライトノベルの複数の人気作品に登場するキャラクターと酷似しているとSNS上で話題になっていた。
これを受けて版元のKADOKAWAは6月28日、連載中止を発表した。
ドラゴンエイジ編集部が作品をあらためて検証したところ、「キャラクターの意匠、設定等が他作品との類似性をもって表現されている」「特定の作品を貶める意図があると認められるだけの行き過ぎた展開、描写がある」「それらに対する反響への予見と配慮を欠いていた」という。
編集部での掲載判断に問題があったとして、連載中止を決めたという。その上で「ご迷惑をおかけした著作者、関係者の皆様には、重ねてお詫び申し上げます」と謝罪した。
原作者の河本さんも同日、「配慮を欠いた作品づくりをしてしまい、今回のような事態を招いたことを反省しております」とツイートをしている。
■転スラ作者のコメントは?
『チートスレイヤー』に登場する転生者の1人「ネームドスライム」は、『転スラ』の略称で知られる人気ライトノベル『転生したらスライムだった件』の主人公リムルに似ているとSNS上で指摘されていた。
この件について『転スラ』の原作者である伏瀬さんは6月28日に「とある件についての原作者としての見解」をブログで発表。『チートスレイヤー』に関して「ドラゴンエイジ編集部より謝罪をお受けしました」と報告した上で、「パロなどを行うにしてもやり過ぎないように」と苦言を呈した。
<現在話題になっているチートスレイーヤー(原文ママ)についてですが、ドラゴンエイジ編集部より謝罪をお受けしました。原作者としてはキャラクターのイメージは大切ですので、パロなどを行うにしてもやり過ぎないようにお願いしたい所存です。以上!ファンの方々には心配をおかけしましたが、この騒動はこれで終了としていただければと思います。それでは、失礼しました。>