4年間の大腸がんとの闘いの末に2020年8月に亡くなったチャドウィック・ボーズマン氏が、2月28日(現地時間)に開かれたゴールデングローブ賞授賞式で、ドラマ部門主演男優賞を受賞した。
ボーズマン氏は『マ・レイニーのブラックボトム』のレヴィー役でノミネートされていた。
授賞式でボーズマン氏に代わってスピーチしたのは、妻のシモーン・レドワード・ボーズマン氏だ。
ボーズマン氏の受賞が伝えられると、レドワード・ボーズマン氏は涙を流しながら「彼は神に感謝していると思います。両親にも感謝しているでしょう。そして、犠牲となった先祖たちが彼を導いてくれたことにも感謝していると思います」と、感謝を伝えた。
さらにその後、「彼がもしここにいたら、とても美しい言葉を語るでしょう。それは私たちを鼓舞し、私たちの中にある『あなたならできる』『前に進もう』『今この時にあなたがやるべきだと思うことをやりなさい』と伝える小さな声を、大きくするような言葉です」と言葉を続けた。
亡くなった俳優がゴールデングローブ賞ドラマ部門の主演男優賞を受賞するのは、1976年に「ネットワーク」で同賞を受賞したピーター・フィンチ氏に続いて、ふたり目となる。
『マ・レイニーのブラックボトム』はオーガスト・ウィルソン氏の1982年の戯曲をベースにした映画で、ブルース歌手マ・レイニーのストーリーと、1920年代のシカゴの黒人パフォーマーに対する経済的搾取が描かれている。
才能と野心に溢れるミュージシャンのレヴィーを演じたボーズマン氏について「彼のキャリアで最高の演技だ」と賞賛する批評もある。
共演したヴィオラ・デイヴィス氏も「チャドのパフォーマンスは、単なる演技を超越したものがある」とニューヨークタイムズに語っている。
俳優のキャリアを通じて、ボーズマン氏はジャッキー・ロビンソンやジェームス・ブラウンなど伝説の人物を演じてきた。また2018年の映画『ブラック・パンサー』の演技も、高く評価された。
自身の演技を振り返り、ボーズマン氏は「私にとって最も最悪なのは、演じる機会が訪れた時に、準備できていないことです。いつ誰の役がきても演じられるように用意したいと思っています。そうやって、今の私がいます」と2018年に語っている。
今回の主演男優賞受賞は、ボーズマン氏にとって最初で最後のゴールデングローブ賞での受賞となった。