高齢化に備える 〜 介護現場で外国人労働者と働く

これからの地域包括ケアシステムは、多職種連携だけでなく多文化連携になっていくわけです。
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高山義浩

日本人は急速に結婚しなくなってきています。つまり、子孫を残さない傾向が加速しているのです。もちろん、子どもがいないのは当人たちの責任ではありません。それが理由で老後の生活が行き詰まることがないよう、無縁独居者の増加も想定しながら地域包括ケアシステムを整備してゆくべきでしょう。

また、子どもがいたとしても、身体介護をしてもらうのが当たり前とか、24時間の見守りをしてもらおうなんてのは甘すぎます。借金を押し付けたうえに、介護の実労働まで要求するのは、まさに世代間の搾取と言ってもいいぐらいです。たぶん、子育てにも影響する・・・。そして、日本社会は詰んでゆく・・・。

高齢者の集住を進めて介護の効率化を図ったり、家庭での実労働を外国人やロボットへとアウトソーシングしなければ、高齢者1人を1.8人で支える時代(2025年)を乗り切ることはできません。介護の実労働をしなくとも、一緒に住むことはできるし、休日を一緒に楽しむなど、親世代への孝行はできるはずです。

誤解なきよう念を押しますが、私は「子どもが親の介護をしてはいけない」と言ってんじゃありません。そういう選択肢はあっていいし、それならそれで対価がしっかり支払われることが望ましいと思います。ただ、「親の介護を子どもがするのは当然だ(美しい)」という考え方から脱却しておかないと、社会的に回らなくなるのは必定だと思ってます。

じゃあ、誰が介護するのか・・・ となれば、行きつく答えは見えてくるはず。よほど機械化に成功しない限り(そんな見通しはまだない)、私たちは外国人労働者を受け入れていくしかありません。言ってみれば、これからの地域包括ケアシステムは、多職種連携だけでなく多文化連携になっていくわけです。

これは技能実習制度の延長ではありません。現在、外国人が介護現場で働いている技能実習制度とは、国内労働力の補完ではなく、開発途上国の人材育成のための国際貢献という建付けです。ですから、経営者には外国人労働者の待遇を日本人と同等に保障することが求められており、研修や教育を整備するといった義務も課せられることになっています。もちろん、来日当初の6ヶ月の研修など政府開発援助(ODA)も注がれています。

一方、これから介護現場が受け入れるであろう外国人労働者とは、国内労働力の補完を明確な目的としています。彼らを介護人材として育成することは手段にすぎず、彼らのためにODAが注がれることもありません。日本社会はビジネスとして定着させ、彼らとウィンウィンのアウトカムを出さなければならないのです。すなわち、技能実習制度とはぜんぜん違う話です。

たとえば、現在、外国人が介護職種で技能実習を行うには、日本語能力が一定水準以上であることが求められています。具体的には、日本語能力試験のN4に合格している者ってことですが、こんな条件は間違いなく吹っ飛ぶことでしょう。日本語能力を条件に課すような上から目線で人材が集まる就労環境じゃありませんから・・・(自覚してますか?)。

世界が高齢化に直面するなかで、いくらでも介護人材を必要としている国や地域があります。そして、日本の経済力が相対的に低下してきているなか、シンガポール、台湾から中東にいたる地域と人材の取り合いになるってことを理解しておく必要があります。まあ、来日前の日本語学習を求めたり、来日後も時給に繋がらない濃厚な研修させてるようでは絶対に負けますね。

台湾では、すでに多くのインドネシア人が介護労働力として働いています。彼らの多くが、読み書きはもちろん、中国語を話すことすらできません。それでも使いこなす柔軟さ台湾にはあるんです。そういう先行例から、私たちは学ばなければならないでしょう。

当然、これからのケアマネは英語が使えなければなりません。流ちょうに話せる必要はありませんが、簡単な指示出しを英語でしながら、あるいはカタコトの訴えを聴き取りながら、カンファレンスを取りまとめる力量が求められます(文書記録は自動翻訳が発達したので母語でOK)。皆さん、備えをはじめていますか?

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