アデルやテイラー・スウィフト、デヴィッド・ボウイ――新型コロナウイルスの影響で長期間外出できない高齢者ホームの入居者たちが、名作アルバムのジャケットを再現して話題になっています。
アルバムジャケットの再現プロジェクトに参加したのは、イギリス・ロンドンにある高齢者向けホーム「シドマー・ロッジ・ケアホーム」の入居者たち。
シドマー・ロッジ・ケアホームは、新型コロナウイルス感染防止のために3月12日に外出や面会が禁止になりました。
プロジェクトのアイディアを考案したアクティビティマネージャーのロバート・スピカーさんは、「4カ月外出できず家族にも会えない入居者たちを楽しませるために、名作アルバムのジャケットを入居者が再現するアイディアを思いついた」といいます。
再現するアルバムを選んだのはスピカーさん。「誰が一番合うだろう、一番似ているのは誰だろうと考えて、それぞれの入居者にお願いしました。全員、多少困惑したかもしれませんが、熱心に参加してくれました」とTwitterで説明しています。
アデルのアルバム『21』でアデルになったのは、93歳のヴェラさん。
デヴィッド・ボウイの『アラジン・セイン』はローマ・コーエンさんが稲妻ペイントを再現しました。
再現アルバムではアーティストの名前は本人の名前に変わっていて、くすりと笑えるユーモアも加えられています。
NPRによると、スピカーさんがメイクや写真撮影や編集を担当し、ケアホームのマネージャーがヘアスタイルやメイクの微調整をしました。
スピカーさんがシドマー・ロッジ・ケアホームのスタッフになったのは2015年。数々のクリエイティヴでユニークな活動を提案してきた、とホームのウェブサイトに書かれています。
スピカーさんの提案で、20年振りに入居者が水泳に出かけたことも。
アクティビティコーディネーターの賞も受賞しているスピカーさんに、マネージャーのジュリー・デイヴィーさんは「ロバートは、クリエイティブさと型にとらわれないアイディアで私たちを驚かせ続けてくれます」と、賛辞を送ります。
プロジェクトが話題になったことについて「ただ入居者に笑って欲しくて始めたんです」とCBCのインタビューで語ったスピカーさん。写真が世界中の人たちにシェアされたことに驚いています。
写真が注目を集めた後、スピカーさんはプロジェクトに関わった入居者と話し合って、高齢者を助けるためのクラウドファンディングを始めました。
「高齢の人たちが外出できず、家族にも会えない状態が何カ月も続く可能性があります。彼らが1日1日を楽しく感じ、元気を持って過ごしてもらうことがこれほど重要になったことはありません」とクラウドファンディングのページに綴るスピカーさん。
集まった募金は、認知症の問題に取り組む団体と高齢者を支援する団体に寄付するそうです。