アメリカの複数の州では、2021年に入ってからLGBTQの人たちの権利を侵害する法律が次々と成立している。しかしこの動きへの対抗措置をとる州もある。
カリフォルニア州は6月28日、LGBTQの人たちに対する差別的な法律を成立させた5つの州を、州費での渡航を規制する州に追加したと発表した。
規制リストに加わったのは、フロリダ州、モンタナ州、ウェストバージニア州、アーカンソー州、ノースダコタ州だ。
同州のロブ・ボンタ司法長官は、これらの州で「基本的な市民権に対する、組織的な攻撃が起きている」と警告。
そして新たに成立した法律が「トランスジェンダーの若者のスポーツ参加を禁じ、生きるために必要な医療へのアクセスを妨害するなど、LGBTQ+の人たちの権利を制限している」と批判した。
差別に対抗する法律
AP通信によると、新たに規制対象になった5つの州では2021年にLGBTQ当事者、なかでもトランスジェンダーの若者を排除するような法律が成立している。
フロリダ州、アーカンソー州、モンタナ州、ウェストバージニア州では、トランスジェンダー女性が、自認する性別で学校スポーツに参加することが禁じられた。
ノースダコタ州では、学生団体がLGBTQの学生の参加を禁じても、公的資金の援助を受け続けられるようにする法律が成立した。
またアーカンソー州ではアメリカで初めて、医師が未成年のトランスジェンダーに、性別適合に必要な医療を施すことを禁じる法律が作られた。
カリフォルニア州では、LGBTQの人たちの権利を侵害する法律がある州への公費での不要不急の渡航を禁じる法律が、2016年に成立している。
法律は「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人たちへの差別への支援や資金提供を避ける」ためのもので、すでにアラバマ州やアイダホ州、テキサス州など12の州への公費での渡航が禁じられてきた。
今回の決定により、規制州が17州に増加したことになる。
法律には例外もあり、カリフォルニア州の法律を施行する、訴訟に参加する、会議やトレーニングなどでの渡航など、公費を利用できるケースもある。
トランスジェンダーの人たちを排除する動きを批判
今回5つの州を規制対象に追加したことについて、ボンタ司法長官は次のように述べ、州としてLGBTQの人たちへの差別に対して行動をとる姿勢を示した。
「ストーンウォールの反乱から52年経ちますが、この国では同じ闘いが今でも残っています。
解決すべき重要な問題があるにも関わらず、トランスジェンダーの若者を悪者扱いし、生きていくために不可欠な医療を阻むことを最優先にさせている政治家がいる。
間違いなく、この国ではかつてないほどの偏見や差別の波が押し寄せています。カリフォルニア州はその動きを支持しません」