アメリカ・カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は6月18日、「ギグワーカー」と呼ばれる、企業から単発や短期で仕事を請け負う労働者を「独立請負人」ではなく「従業員」として分類するよう義務付ける法案に署名した。
ギグワーカーにはウーバー(Uber)やリフト(Lyft)といった配車サービスのドライバーも含まれる。
「AB-5」と呼ばれるこの法律は、こういった配車サービスのビジネスモデルを一変させることになりそうだ。
ニューサム知事はカリフォルニア州議会宛ての書面で、AB-5は「画期的な法律制定だ」と綴る。
「この法律は、労働者を誤って分類することを避ける助けとなります。従業員ではなく“独立請負人”だと分類されていた人たちは、最低賃金など労働者が受けるべき基本的な保護から省かれていました」
「この法律は、“中産階級の空洞化”を防ぐ重要なステップです」
法律には、労働者がどういった状況で、従業員に当たるかが書かれている。
従業員であれば、最低賃金や失業保険、傷害保険、労働組合を結成する権利といった恩恵を受けられる。
AB-5が施行されるのは1月。「労働者を独立請負人に分類することは、中産階級の空洞化、そして所得の不平等の大きな要因となってきた」と同法律には明記されている。
ウーバーやリフトは今回の法案に反対するロビー活動を続けてきた。両企業は現在ドライバーを独立請負人に分類しており、従業員として扱うようになると収益に大きな影響が出ることになりそうだ。
ウーバーはAB-5が9月11日にカリフォルニア上院で可決された後、たとえ新しい法律が施行されても、Uberはドライバーを従業員とは考えないつもりだと述べている。
ドライバーを従業員にしない理由を「業務がウーバーの通常業務の範囲外で行われているから」と説明する。
新しい法律では、独立請負人だと認められるのは次のA〜Cの3つのいずれかに当てはまる場合だ。
A. 労働者が、雇っている会社の管理指揮から自由である
B. 労働者の業務が、会社の通常の業務の領域から外れている
C. 会社と同じ分野の仕事を、自分で独立して行っている
ウーバーは、ドライバーはBに当たるので、独立請負人に当たると主張している。
そういったウーバーの動きもあり、法律が施行後に配車サービス企業やドライバーに実際どう影響するのか、現時点ではまだはっきりわかってはいない。
AB-5の可決がほぼ決定になった9月初旬、ウーバーはドライバーを従業員に分類することを避けるために、いくつかの法的・政治的手段をとる予定だと話している。その中には、2020年にアメリカ全州で住民投票をすることも含まれている。
一方で何百人ものウーバーやリフトのドライバー、そして彼らをサポートするキャンペーン「ギグ・ワーカー・ライジング」は8月、カリフォルニア全土で、法案の成立を求める抗議活動を実施した。
AB-5は5月にカリフォルニア下院、9月上旬に上院で圧倒的多数で可決された。
カマラ・ハリス、バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン、ピート・ブーテジェッジといった2020年の大統領選民主党の候補者も、法案へのサポートを表明していた。
ウォーレンはサクラメント・ビー紙の論説で次のように綴り、AB-5の必要性を訴えた。
「アメリカには、力のある企業が利益を増やすために労働者を搾取してきた負の歴史がたくさんあります」
「今日の企業の多くは、それを労働者の間違った分類、という形で行っています」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。