失読症だった私にとって、スピーチは恐怖でした

「舞台の上では落ち着いていたかったし、自分を美しいと感じたかったし、自分らしくしていたかったんです」

このブログはケイトリン・ジェンナーが、アメリカの雑誌「WhoSay」に連載中の「本当の私」シリーズから転載。シリーズではLGBTの人々と課題について取り上げている。

友人のみなさん。大変な1週間でしたね。まず最初に言わせて下さい。ESPY授賞式が終わって本当にホッとしています。

ここ1カ月、授賞式で何を着るかずっと悩んでいました。ドナテッラ・ヴェルサーチが「あなたのドレスを作りたい」って言ってくれたので、私も「ぜひお願いしたい」と返事をしました。ドレスはデザインからスタートし、イタリアで作りました。完璧に仕上げるために、ドナテッラの仕立て部門のトップの人が来てくれて、2回試着しました。まるで今まで夢見ていたことの、全てがかなったようでした。

こういった舞台で華やかに着飾ることはとても骨の折れることでしたが、驚きの連続で楽しかったです。大舞台にふさわしい装いをし、くつろいだ気分で授賞式にのぞみたかったんです(ただドレスの下にコルセットをつけていたから、くつろげたかどうかは分からないですが)。それに舞台の上では落ち着いていたかったし、自分を美しいと感じたかったし、自分らしくしていたかったんです。

ESPY授賞式の生中継は見ませんでした。だってあれだけ沢山の人の前に出なきゃいけなかったし、見たら緊張して逃げ出してしまいそうでしたから!だから授賞式はずっと舞台裏にいて準備をし、受賞直前のコマーシャル中に舞台に出ました。

私のスピーチの前に流れた映像は本当に素敵でした。作ってくれたレベッカ・ギトリッツと制作会社の「Maggievision」のチームに感謝します。彼女はこの映像のためにたくさんの時間と労力を費やし、アメリカ中を駆け回ってくれました。本番中に映像を見ていた時は余り感情移入できませんでした。絶対に泣いてしまうと分かっていましたから。

ドレスは長くて丈夫だったから、舞台に上がるときに転んでしまうんじゃないかと心配でした。でもアビー・ワンバック(女子サッカーアメリカ代表のフォワード)が転ばないように手伝ってくれました。彼女がとても素晴らしい紹介をしてくれたことに御礼したい。ステージに上がる前、興奮している彼女ににこう言ったんです。「アビー、私たち二人が舞台の上にいるところを撮った写真が必要ね。タキシード姿のあなたとヴェルサーチのドレスを着た私たちがESPY受賞式の舞台に立つ写真。それはもうすぐ撮れるわね」。そして舞台に上がって私たちは手をつなぎ、軽くお辞儀をしました。それが面白くて、少し気が楽になりました。

それでも、プロンプターに表示された自分のスピーチを読むのは、全く別ものでした。子供の時、失読症だった私にとって一番の恐怖は、クラス全員の前で何かを読むことでした。読むことだけは得意ではなかったんです。そしてその記憶が今もついてまわります。だからこれまでスピーチはすべて即興でやってきました。舞台に上がって何を話すかを決め、思ったままに話すほうが得意なんです。

でもESPY授賞式では、プロンプター通りに読まなければいけませんでした。なぜなら、限られたわずかな時間の間にメッセージを正しく伝えなければいけなかったから。だからきちんと話せるよう、練習に練習を重ねました。

トランスジェンダーの活動についての詳しい情報は、CaitlynJenner.comの情報源のリストをご参照ください。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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