副業OKの会社も増えてきた昨今、二枚目の名刺を持って活動する人も増えています。
ブロガーやライター、編集者など個人で活動している場合、その名刺はかなり自由にデザインすることができます。会社員だからこそ、二枚目の個人事業名刺はより自分をアピールしたいもの。とはいえ、どうデザインすれば良いのか悩みますよね。
名刺デザインって、どこまで個性を出していいの?どういう名刺にしたら印象づけられるの?という人のために、「今すぐ実践できる、会社名刺にちょい足し&ちょい引きアイデア4つ」記事に続き、名刺の達人である日本名刺協会理事の高木芳紀さんに教えてもらいました。
名刺のフォーマットはベーシックに。写真はオススメ!
----自分で自由にデザインできる名刺だからこそ遊びたい!と思うのですが、名刺のフォーマットって実際のところ、どこまで変えていいのでしょうか?
名刺は渡した相手に保管してもらうものですよね。それを第一に考えるべきだと思います。たとえばサイズや形状は、一般的な定型からあまり変えないほうがいいですね。定型からかけ離れていると、名刺ホルダーやボックスにしまいにくいでしょう。
名刺管理アプリを使っている方は、どんなものでも読み込めると思うかもしれません。スマホで撮影して読み込む場合はだいたい大丈夫だと思います。しかし、セットして読み込むシートフィード式スキャナーは、合わないサイズや特殊な素材だとエラー状態になる場合が。迷惑に思われることがあるかもしれませんね。
----名刺に写真を入れるのは、どうでしょうか?
すごくいいと思います。特に文章を書くのが苦手な方は、写真で表現するのをオススメします。
名刺の表側は普通にテキストで名前や連絡先などの情報を入れて、裏に自分の写真を載せるのはどうでしょう。たとえば、名刺の裏に、休日にサッカーしている自分の写真があれば、話のきっかけになりますよね。
あとは、ソーシャルアカウントで使っているアイコンを置くのも良いですね。アイコンが自分の顔ならば、フキダシで何かひとこと語らせるのも、目を引きますね。メディア運営者であることをアピールしたい場合は、どういう思いやこだわりでメディアを運営しているのかを語ってみるのはどうでしょう。
名刺デザインの5つのヒント
名刺の達人の高木さんだけあって、一工夫ある名刺をたくさんお持ちです。二枚目の名刺を作る時のヒントになる、いろいろなパターンを見せていただきました!
----こちらの方の名刺は似顔絵付きで、プロフィールもたくさん。読み応えありますね。
この方は、大手通信会社の会社員としての名刺があるのですが、それとは別に個人プロフィールを入れた、この二つ折りの名刺をお持ちだそうです。
大手企業の真面目な名刺と同時に渡すとギャップがあって、印象に残りやすいと思います。そして、この名刺から、本人の人柄がとてもよく伝わります。
最初のミーティングでは真面目な会社名刺をお渡し、商談などが続いて打ち解けてきたら、二枚目の名刺をお渡しするというのも良いですね。フィーリングが合いそうだなと思ったら、こちらの名刺で自分についてより深く知ってもらう。ポイントは、いろいろ書いてあることです。たくさんの情報があると、受け取った相手が共通点を見つけやすいですよね。
こちらの方もそうです。
彼は「日本酒文化普及協会会長」と名乗っています。
日本名刺協会もそうなのですが、ある意味言ったもん勝ちですよね(笑)。「そんな協会あるんですか?」と言われても、なかったんで勝手に作ってしまいました!で笑ってすむ。他がやらないうちに名刺で名乗ってしまえば良いと思います。
そして、この方の経歴が面白いんです。名刺を開いてみると自分の足跡が日本地図とともに書かれています。これだけ情報があれば、相手もどれかは繋がる話を見つけられますよね。
会社の事業に関連した何かを仕込んだ名刺も面白いです。たとえばこちらはICカードの中身を作っている会社の名刺なのですが、名刺に回路がパウチされています。商品をそのまま貼り付けることで、事業をわかりやすく伝えられますよね。
この名刺は、私にとって「名刺ってこんなに自由に作っていいんだ」と発想を広げるきっかけになりました。
他にも、大手写真用品メーカーの方の名刺も印象的でした。写真プリント用紙である印画紙で作られていたんです。名刺自体が事業の紹介になるような、一目瞭然の工夫がされていると目を引きますよね。
この名刺デザインの元ネタ、わかりますか?
----わかります。カセットテープのインデックスカードですよね。A面・B面になってます。なつかしい!
80年代のファンシー雑貨を集めている方の名刺なので、その時代を象徴するデザインを模しているんです。データ記入欄は、会った日時を書き込んだりするメモに使えそうで、芸が細かいです。
「社長、好きなだけ思いのたけをお話しください!」からはじまる名刺です。税理士の方の名刺とは思えませんよね。士業はお堅い印象が強く、いざ会ってもざっくばらんに話しづらいものです。でも「何でも話して!」と語りかけられると、安心してしゃべりたくなるでしょう。
----裏側も税理士事務所サイトのランディングページのような、すぐに相談したくなる仕掛けがたくさんありますね。持ち歩くWebサイト、まさにメディア的な名刺ですね。
名刺自体は普通のサイズ・内容なのですが、台紙がついているというパターンです。名刺は台紙から簡単に取り外せるので、相手が保管するときでも迷惑にならないと思います。
こちらも、自分の好きな映画やミュージシャンなどが下に並んでいるので、多くの人がどれかには共感できますよね。
台紙の裏は自社の事業であるサイトの制作実績を並べています。自社パンフレットと名刺が合体したかのような、情報量ですね。
まとめ:共通点は、相手に「届けたい」という思い
以上、日本名刺協会理事の高木さんに一工夫ある、二枚目の名刺アイデアを教えていただきました。いずれの名刺も、相手とどのようにつながっていきたいのかが伝わってきます。見えてきた共通点は、より深く「届けたい」という思いです。
それってまさに「メディア」ですね。そう考えると、「定期的にアップデートする名刺」があってもいいかもしれません。ブロガーやライター、編集者ならば、注目のキーワードやイチオシの記事などを書いた名刺を、お会いするたびにフリーペーパーのようにお渡しする。それもひとつの話のきっかけとなりそうです。
さらに名刺のアイデアを知りたい人は、高木さんが運営する 名刺研究家の「アイデア名刺の作り方」ブログ をオススメします。
二枚目はより個性を出した名刺を作りたい!と思う方の参考になれば幸いです。
この記事企画は7月に開催した勉強会の記事企画作りペアワークで、ライター・編集者の金子さんより出てきたアイデアでした。金子さんにも、企画作り、取材同席など記事企画にご協力をいただきました。ありがとうございました!