東南アジアのイスラム教国「ブルネイ」で、男性同士の性行為を石打ちによる死刑とするなどイスラム教に基づく厳格な刑法が4月3日から施行された。
国際社会では反発が広がっており、アメリカの俳優ジョージ・クルーニーさんが、ブルネイ政府が所有するホテルのボイコットを呼びかけた。
■ブルネイとは?
日本の外務省によると、ブルネイは三重県とほぼ同じ面積に、約42万人が住んでいる。石油と天然ガスの資源に恵まれ、GDPの5割以上を占めている。
国王は宗教上の権威であるとともに、首相、国防相、財務経済相及び外相を兼任するなど、国政全般を掌握している。2014年5月からイスラム教に基づくシャリア刑法の段階的な導入を進めており、4月3日に全面施行した。
NHKニュースによると、この刑法では男性同士の性行為や夫婦以外との不倫行為を石打ちなどによる死刑にするほか、窃盗犯には手や足を切断する刑罰が与えられるなどとされている。
■「自国民を死に追いやる人々にお金を渡すことになる」
ブルネイの新法に対してハリウッドからも反発の声が出た。クルーニーさんは3月28日、アメリカのニュースメディア「DEADLINE」に寄稿。ロンドンの「ザ・ドーチェスター」やロサンゼルスの「ビバリーヒルズ・ホテル」など、ブルネイ政府が所有する高級ホテルのボイコットを呼びかけた。
その上で、クルーニーさんは以下のように警告した。
「これらは良いホテルです。そこで働く従業員は親切で、これらのホテルの所有権には関与していません。しかし、私たちがこれらの9つのホテルのいずれかに滞在したり、会合を開いたり、食事をするたびに、自国の国民を投石で死に追いやる人々のポケットに直接お金を入れているのです」
クルーニーさんの呼びかけに、同性愛を公表しているイギリスの歌手エルトン・ジョンさんも反応。「私の友人ジョージ・クルーニーが、ブルネイでの同性愛者の差別および偏見に反対したことを称賛します」と公式Twitterでエールを送った。