2022年上半期にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:6月10日)
<これまでの経緯はこちらから>
約70年前に結婚の約束を交わした日本人女性に再び会って、真実を伝えたいーー。
アメリカ・アイオワ州在住、91歳のデュエイン・マンさんが5月頭、Facebookにそんなメッセージを投稿した。その日本人「ペギー・ヤマグチさん」との思い出を細かく綴った内容は世界中でシェアされ、ニュースメディアにも多数取り上げられた。
SNSでそのニュースを知ったネットユーザーの巧みなオンラインリサーチにより、約10日後にはペギーさんと思われる女性が見つかった。ペギーさんは現在、当時の手紙で「結婚した」と綴られていた夫と共に、ミシガン州に住んでいることが分かった。
そこからマンさんやペギーさんの家族、そして地元ニュースクルーも加わり、2人の再会への旅が始まった。
マンさんの住むアイオワ州からミシガン州までは、車で1000キロ以上のドライブ。63歳の息子ブライアンさんが運転し、数日かけて向かった。
約70年の時を経て、ついに再会へ
そして6月1日。ミシガン州のホテルで、マンさんとペギーさんは約70年ぶりに再会を果たしたーー。
再会の一部始終は、5月にマンさんのペギーさん探しについて特集を放送したアイオワ州の地元テレビ局KETVに密着取材され、6月5日に放送された。
「ペギー、How are you?」
息子の隣に座って再会を待つペギーさんの前に現れ、声をかけるマンさん。
ペギーさんは「オーマイガッ」と驚きの表情で立ち上がり、2人は熱いハグを交わした。
すぐに昔を思い出したのか、ペギーさんは「ダンス、覚えてる?」と微笑みながらマンさんに語りかけた。
91歳の2人は、空白の約70年間が嘘だったかのように会話が弾んだようだ。
そして、マンさんが再会を熱望していた理由、ずっと伝えたかった「思い」を打ち明けた。
「僕が君を見捨てた、と君が思っているんじゃないかと、これまでずっと悔やんできたんだ。でも見捨てたんじゃないんだ。ただ君を見つけられなかっただけなんだ」
それに対しペギーさんは、「その思いや、覚えてくれていたこと、ずっと写真を持っていてくれたこと...私のことを愛していてくれたのね」と話し、彼の頬にキスをした。
70年間マンさんの心に重くのしかかっていた気持ちに、ついに終止符が打たれた。
ペギーさんの写真を財布の中に、約70年間持ち続けていたというマンさん。
しかし、相手の事を思い続けていたのは、マンさんだけではなかったようだ。ペギーさんの思いは、財布の中の写真ではなく、同席したペギーさんの息子の名前にあった。彼のミドルネームは「デュエイン」。マンさんのファーストネームと同じだ。
この感動的な2人の再会ストーリーに、SNSでは「涙が止まらない」「ティッシュが必要」「なんていい話だ」など、温かいコメントが溢れた。
再会の旅から無事アイオワ州に戻ったマンさん。ハフポスト日本版のオンライン取材に対し、今の気持ちを伝えてくれた。
「彼女に、僕があの時に見捨てたわけではないと知ってもらえて、ずっと重くのしかかっていた胸のつかえが下りました。ペギーに再会できて最高でした」
2人の再会を特集した、アイオワ州の地元テレビ局KETVによるニュース動画はこちらから。