マイクロソフトのウェブサイトMSNに掲載された元NBA選手ブランドン・ハンターさんの訃報に関する記事が批判を浴びている。
記事には、故人に対して失礼な言葉が使用されているほか不正確な記載もあり、AIによるものではないかと指摘されている。
「テレビゲームに出場した」という記述も
さらに記事では、かつてボストン・セルティックスとオーランド・マジックに所属したハンターさんが「42歳で手放された」と表現されているほか、「2シーズンで67のテレビゲームに出場し、2004年のミルウォーキー・バックス戦でキャリアハイの17ポイントを記録した」とも書かれていた。
科学技術メディアのフューチャリズムは、「記事はTMZスポーツの記事に似たフォーマットで書かれたようだが、多くの箇所で句読点の変更や同義語の使用が行われており、結果としてほぼ理解不能になっている」と指摘している。
フューチャリズムによると、この訃報は元々レーストラックというウェブサイトに掲載されていたものの転載で、現在では同ウェブサイトとMSNの両方から削除されている。
フューチャリズムは、ハンターさんの訃報以外にもレーストラックの記事には多くの問題があると報じている。
具体的に、「ジョイ・テイラー(Joy Taylor)」を「プレジャー・テイラー(Pleasure Taylor)」、「ニューヨーク大学ランゴン・メディカル・センター」を「ニューヨーク大学ランゴン・メディカル・ハート」と書かれた例が挙げられている。
さらに、他のメディアの記事に手を加えたと見られる箇所もあり、フューチャリズムは盗用の可能性も指摘している。
MSNのレーストラックのページにリンクされているのはポルトガルの自動車雑誌オートギアで、ハフポストUS版は、このサイトにコメントを求めている。
なぜ失礼な訃報が掲載されたのか
訃報が掲載された後、SNSでは記事に対する推察や批判が投稿された。
Redditでは、この訃報がAIによるものなのか、翻訳の問題か、盗作なのかという議論が起き、「AIが書いた記事を校正なしで、そのまま載せているのだろうか」「ワードスピナーを使って、他人が書いた記事の単語を可能な限り同義語に置き換えているように見える。『Forward』を『Ahead』に、『Passed』の代わり『Handed』」などの意見が書き込まれている。
Xでも「AIが訃報を書くべきではない。ライターにちゃんとお金を払ってください」という声が投稿されている。
マイクロソフトは2023年初めに、OpenAIへの100億ドルの投資を発表した。しかし、MSNの記事に対して、AI使用を懸念する批判が起きている。
8月掲載されたカナダ・オタワのおすすめ観光スポットの記事には、地元のフードバンクが掲載されていた。マイクロソフトはこの理由について「アルゴリズム技術と人間のレビューの組み合わせ」であり「監視なしのAI」ではないとザ・ヴァージへの声明で述べた。記事はその後削除されている。
MSNは2020年、何十人ものジャーナリストを解雇しAIに置き換えると報じられた。フューチャリズムによると、その後MSNにはビッグフットや人魚など、真偽が定かではないトピックについての記事が大量に配信され、その後削除された。
マイクロソフト広報は、ハンターさんの訃報について「私たちが掲載するパートナーの記事の正確性は重要であり、不正確な情報が表示されないように、システムを改善し続けています。問題のある記事は削除されました」とKTLAに対する声明で説明している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。