冬は鍋がおいしい季節。カセットコンロを使い、自宅で鍋を楽しむ人も多いのではないだろうか。
しかし、コンロに使用するカセットボンベは、正しく扱わなければ破裂して引火する恐れがある。過去には死亡事故も発生しており、注意が必要だ。
カセットボンベが破裂し客に直撃
製品評価技術基盤機構(NITE)によると、カセットボンベは高温になる場所に放置すると、ボンベの内圧が高まって膨張し、破裂して漏れたガスに引火する恐れがある。
2022年12月には、兵庫県で60歳代女性が死亡する事故が起きた。
飲食店で女性が食事をしていたところ、カセットボンベが装着されたカセットコンロを店員が熱くなった鉄板上に置いた。すると、ボンベが加熱されて破裂し、射出されたボンベが女性の腹部に直撃。女性は3日後に死亡した。コンロには、「ボンベは加熱されると爆発する」と記載されていたという。
可燃性ガスを含むスプレー缶も同様の危険があり、爆発事故に注意が必要だ。
2022年4月、青森県の60歳代男性が石油ファンヒーターを使用中、そばにスプレー缶を放置。スプレー缶は温風で加熱されて破裂し、気化した可燃性ガスにファンヒーターの炎が引火、爆発した。男性は軽症だったが、一歩間違えれば大けがにつながる事故だった。
なお、石油ファンヒーターだけでなく、電気ストーブでも同様の事故が発生する恐れがあることから注意が必要という。
実験では大きな炎が舞い上がる
NITEは事故の怖さを伝えるため、公式YouTubeに実験動画も公開している。
実験では、高温になる場所にカセットボンベを放置。すると、ボンベがとてつもない勢いで破裂し、4枚の板をいとも簡単に打ち砕いた。また、漏れたガスに引火させた実験では、大きな炎が縦横に大きく広がり、爆発事故の怖さがよくわかる。
カセットコンロ、石油ファンヒーター、電気ストーブを使う際、NITEは次のような点に注意するよう呼びかけている。
①カセットコンロを使う際は、カセットボンベの上を覆うような大きな鍋や鉄板を使用しない。
②カセットコンロを 2 台以上並べて使用しない
③カセットボンベやスプレー缶は、高温になる暖房器具や調理器具、火気の近く、直射日光の当たる場所に置かない
④寒さでガスの出が悪くなった際など、暖房器具で温めてはいけない
⑤保管する際も、高温になる場所に置かない
⑥捨てる際、無理に穴を開けると大量のガスが吹き出して近くの火気に引火する恐れがあるため、最後まで使い切る。
⑦電気ストーブは、洗濯物やカーテンなど可燃物の近くで使用せず、電源を入れたまま就寝や外出をしない