喜寿を迎えたボブ・ディランがついにフジロックにやってくる。常にロックの歴史を切り開き、彼の詩の世界はついにノーベル文学賞を受賞した。ミュージシャンである彼の真髄はライブにこそある。
韓国で起きたサプライズ
ディランは公式ホームページでセットリストを公開している。フジ直前の韓国公演はサプライズだった。近年、フランク・シナトラが歌っていたアメリカン・スタンダードのカバーを続けていた。直前のアルバムもすべてカバーで、ライブで披露されることも多かった。
そのディランがなんと1曲目に代表曲「All Along The Watchtower」(ジミ・ヘンドリックスのカバーも有名)をもってきた。
さらにディランを代表するアルバム『追憶のハイウェイ61』、円熟味を増した2000年代以降のオリジナルアルバムからも代表曲をセットリストに盛り込んでいた。
いきなりの変更の理由が気になってしまうが、ディランは特に深い理由もなく、演奏したいものを演奏するミュージシャンだ。その時々で曲のアレンジもがらりと変えて、しばらく演奏が続いてから「あっこれか」と思うことばかりだ。
韓国のセットリストを見る限り、フジのサプライズは大いにありえると予想する。
あの名曲も......?
こうなると期待したいのが、最近はあまり演奏していない大名曲「Like A Rolling Stone」が聴けるかどうかだ。
ディラン関連の翻訳本を手がけ、熱狂的なファンを自認する菅野ヘッケルさんはフジロックの公式ファンサイトでこんな予想を語っている。
去年のツアーでも間にフェスが入ったんだけど、まぁ時間の関係もあったんだろうけど、それまでのセットリストとは全く違って、割と代表曲をたくさんやるんだよね。だから、去年一年間のツアーで、"ライク・ア・ローリング・ストーン"を歌ったのは、そのフェスティバルでの一回だけなんだよね。
とはいえ、だ。ディランはディランである。現代の吟遊詩人のステージは蓋を開けてみないとわからない。
いずれにせよ、時代を変えてきた77歳にして日本最高のロックフェスの舞台にやってきて、並み居るスターを押しのけてヘッドライナーを務める。これだけでもう十分に伝説である。