漫画・アニメの海賊版サイトへのアクセス遮断を推奨する決定を政府が出したことを受けて、緊急シンポジウムが4月18日、都内で開かれた。
政府は13日、「漫画村」「AniTube! 」「MioMio」という3つの海賊版サイトに対して、アクセス遮断をインターネット事業者(プロバイダー)が自主的に実施することを促す決定をした。これを受けて、コンテンツ文化研究会が主催。プロバイダー団体の担当者や弁護士らが討論した。
■「オープンな議論、していない」
「これからのネットづくりと海賊サイトへのブロッキング要請を考える」と題された今回のシンポジウムは、メディア関係者ら80人近い聴衆で会場は満員になった。
日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)副会長の立石聡明さんは「十分かつオープンな議論をしてきたと主張する人もいるが、実際にはしていない。私どもも4月に入るまで全く知らなかった」と話した。
その上で「他の先進国ではアクセス遮断する際には法律や裁判所の手続きを踏んでいる。今回の決定のように、政府が特定のサイトを名指しすることは例がない」と指摘した。
JAIPA理事の野口尚志さんも、憲法で定められた「通信の秘密」を侵害するため、アクセス遮断には「絶対反対」と主張。著作権侵害で海賊版サイトを訴えることや、検索エンジンに検索結果を載せないように求めたり、海賊版サイトに広告を掲載しないように代理店に求めて収入源を断つなどの手段を取るべきと話した。
■海外の会社でも訴訟可能
また上沼紫野弁護士は「FC2、Twitter、Facebookなど海外に本社を置くウェブサービスで、著作権をめぐる裁判は前例がある」と指摘。出版社やクリエイターに対して、アクセス遮断ではなく著作権侵害による訴訟を提起すべきだと話した。
森亮二弁護士も、政府の措置について「法律ができるまでの緊急避難という考え方はおかしい」と指摘した。