ついにこのときが来た。ビットコインの価格が1万ドルを突破したのだ。
現地時間の11月28日午前に、ビットコインはまず国際市場(通常各国の現地市場に比べて価格が数%高い)でこのマイルストーンに到達し、CoinbaseやGeminiをはじめとするアメリカの取引所でもその後1BTCが1万ドルを超えた。
なお、ビットコインは8日前に8000ドル、2日前に9000ドルを突破したばかりだった。
現代の金融市場でこれほどまでに急激な値上がりを記録した資産は存在しない。参考までに、過去1年間でビットコインの価格は1258%上昇し、仮想通貨全体の価格も2174%上昇(時価総額は3160億ドルに到達)した。ちなみに、ビットコインは仮想通貨市場の時価総額の54%を占めている。
ビットコインの世界ではちょっとした混乱が起きている。というのも、歴史上(恐らくチューリップを除いて)、ここまで短期間にこれだけ価格が上昇した資産はなかった。前例もなく、さらには「簿価」を算出する方法もないことから、このニュースをどのように理解すればいいのか誰もわかっていないのだ。
ニュースを受けて、「1兆ドル市場誕生の前兆」や「インターネット誕生以来最大のニュース」、はたまた今後ビットコインが金や米ドル、さらには全ての通貨代替物の役割を担うようになると主張する人もいれば、これは史上最大の投機バブルで、明日にでもビットコインの価値はゼロになってしまうと言う人もいる。
そして、その中間くらいのことが起きるか、全く検討もつかないという人が大半だ。今後テクノロジーがどのように発展していくかを予想するだけでも難しいため、ビットコインのように市場で取引できる流動資産の価値を自力で考えるのは至難の業だ。
つまり、ほとんどの人が「次は何が起きるのか?」という疑問を胸中に抱えている。
しかし誰もその問いには答えられない。仮想通貨の熱狂的な支持者でさえ、現在バブル状態にあり、そのうち修正局面を迎える可能性が高いと考えている。もちろん、修正幅が20%になるのか2%になるのか、さらにはそもそも修正が起きるかどうかさえ誰もわからない。とはいえ現状を考えると、具体的な数値はわからないにしても、将来的に価格が下がる可能性は大いにある。
連日ビットコインに関するニュースをTwitterやCNBCで見聞きするが、実際のところ普及率はまだ低いままだ。アメリカ国民の多くは、未だにビットコインとは何なのか、そしてビットコインで何ができて、どこで買えるのかさえ知らない。この状況はウォール街でも同じで、過去1年間で仮想通貨に特化したヘッジファンドが100以上も立ち上げられたが、機関投資家の多くは未だにビットコインへの投資を控えている。
つまり、まだビットコインは黎明期にあるとも言えるし、すでに終焉を迎えつつあるとも言える。いずれにしろ、過去1年間の仮想通貨市場がどれだけ熱狂の渦に包まれていたかを振り返る上で、このニュースはちょうどいいきっかけになりそうだ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)
(2017年11月30日Tech Crunch日本版「ビットコイン、遂に1万ドルを突破」より転載)
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