子どもたちの夢を壊そうとしたわけではないんです――。
司祭が「サンタクロースは実在しない」と子どもたちに伝えたことについて、イタリアのローマ・カトリック教会教区が謝罪した。
サンタ架空説で発言で物議を醸したのは、シチリア島ノート教区のアントニオ・スタグリアーノ司祭だ。
AP通信によると、スタグリアーノ司祭は宗教行事で「サンタクロースは存在しない」と子どもたちに伝えた。さらに「サンタクロースの赤い服は、コカ・コーラが広告のために作り上げたものだ」とも述べたという。
この発言に子どもたちの親たちから苦情が寄せられ、ノート教区コミュニケーションディレクターのアレッサンドロ・パオリーノ氏は12月10日、Facebookで謝罪した。
パオリーノ氏は「司祭に代わり、子どもたちを失望させた発言をお詫びします」と述べた上で、スタグリアーノ司祭は子どもたちの夢を壊そうとしたわけではなく、クリスマスの本当の意味を伝えようとしていたと説明した。
「子どもたちの想像力を壊すべきではありませんが、今回の出来事から、人生にとって良い例を引き出すことができます」
「サンタクロースには、与えることや寛大さ、他者との共有など、効果的なイメージがあります。しかしそのイメージが失われると、サンタクロースは大量消費や、欲求、買い続けることを意味する存在になってしまいます。そうなった時には意味を問い直し、新しい意義付けをする必要があります」
教区の謝罪と説明を受け入れた人たちもいる一方で、クリスマス2週間前に司祭が「サンタクロースはいない」と伝えたことに、腹を立てている親たちもいる。
AP通信によると、Facebookには「司教の発言は、家族の伝統の一線を越える行為であり、新型コロナウイルスでクリスマスを我慢してきた子どもたちの夢を壊した」などの、批判も投稿されている。
ちなみに「赤い服のサンタクロースはコカ・コーラが広告のために作り上げたもの」という主張については、イメージを広めるのにコカ・コーラ社が一定の影響を与えたというのが有力な説になっている。
コカ・コーラ社は1931年のクリスマスキャンペーン用に、イラストレーターのハッドン・サンドブロム氏に依頼して、赤い服を着て白髭で陽気なサンタクロースを制作した。
サンドブロム氏はこのサンタクロース像を、1822年のクレメント・クラーク・ムーア氏の詩「サンタクロースがやってきた(クリスマスのまえのばん)」にヒントを得て描いたという。
サンドブロム氏がコカ・コーラ社のサンタを描いたのは1964年までだったが、同社はその後も同じ赤い服に白い髭のサンタをクリスマスキャンペーンで使い続けている。
コカ・コーラ社は、このイメージを作ったのはコカ・コーラではないが、広めるのに広告が一定の役割を果たしたと説明している。
【訂正 2021/12/11 00:50PM】
当初タイトルとアレッサンドロ・パオリーノ氏の敬称を「牧師」としていましたが、ローマ・カトリック教会では「牧師」は使わないために修正しました。