日本の「誕生石」に、新たに10の宝石が仲間入りしました。
「誕生石」は、全国宝石卸商協同組合が1958年に制定しました。改訂はそれ以来初で、63年ぶりとなります。新しく仲間入りした誕生石や、改訂の理由について説明します。
あなたの誕生石は? 新たな誕生石リスト
10石の誕生石が追加され、カラーバリエーションが広がりました。今まで単色しか選べなかった月でも、他の宝石・色を選べる選択肢が増えたことになります。
▼誕生石リストは以下の通り。
1月 ガーネット
2月 アメシスト、クリソベリル・キャッツ・アイ(NEW)
3月 アクアマリン、サンゴ、ブラッドストーン(NEW)、アイオライト(NEW)
4月 ダイヤモンド、モルガナイト(NEW)
5月 エメラルド、ヒスイ
6月 真珠、ムーンストーン、アレキサンドライト(NEW)
7月 ルビー、スフェーン(NEW)
8月 ペリドット、サードオニックス、スピネル(NEW)
9月 サファイア、クンツァイト(NEW)
10月 オパール、トルマリン
11月 トパーズ、シトリン
12月 トルコ石、ラピスラズリ、タンザナイト(NEW)、ジルコン(NEW)
アメリカの宝石商組合(現在のジュエラーズ・オブ・アメリカ)が新たに追加した6月アレキサンドライト、8月スピネル、12月タンザナイトとジルコンが新たに追加されました。
また、日本オリジナルとして、2月クリソベリル・キャッツ・アイ、3月アイオライト、4月モルガナイト、7月スフェーン、9月クンツァイトの5石が加わりました。さらに、歴史的背景も考慮し、3月にブラッドストーンが加えられています。
なぜ誕生石が追加されたの?
全国宝石卸商協同組合は、新たに誕生石を追加した理由として主に2点を述べました。
まず、国内において既に様々な誕生石リストが存在している中で、「消費者が混乱するため、業界として誕生石を統一することを第一に考えた」といいます。
また、新型コロナウイルスの影響により、大きなダメージを受けたジュエリー業界で、「誕生石改訂により、消費者の選択の幅が広がり、宝石への関心を高めて頂きたい」という願いも込めて誕生石改訂を決定したといいます。
新たに追加された誕生石の特徴
同組合によると、近年発見された宝石が新しく仲間入りしたそうです。同組合は、それぞれの宝石の特徴も紹介しています。
2月
クリソベリル・キャッツ・アイは、クリソベリル(金緑石)のシャトヤンシー(キャッツ・アイ効果)を持つ古くから知られている宝石。和名で猫目石と呼ばれています。
3月
アイオライトは、鉱物名コーディエライトの青色の変種。アイオライトはギリシャ語のios(紫色)とlithos(石)に由来しているとされています。和名で菫青(きんせい)石。強い三色の多色性があり、 方向により青紫色、灰黄色、淡青色がみられています。
ブラッドストーンは、ブラッドストーンは濃緑⾊の地に⾚⾊の斑点があるジャスパーです。歴史が古く⼗字架に架けられたイエス・キリストの⾎がジャスパーの上に垂れて出来たと伝えられています。
4月
モルガナイトは、鉱物名ベリルの変種で、ピンク色から淡紫色の色合いを持つ宝石。モルガナイトは比較的、無傷で大粒の石が産出されています。1911年にアメリカのモルガン財閥の創始者であるジョン・ ピアポント・モルガンに因んで名付けられました。
6月
アレキサンドライトは、アレキサンドライトは鉱物名クリソベリル(⾦緑⽯)の⾊変わりをする変種。太陽光下では⻘緑⾊で、⼈⼯照明(⽩熱灯)下では⾚紫⾊になります。変⾊の程度が明瞭であるほど貴重とされています。
7月
スフェーンは、鉱物名チタナイトとも言います。結晶の形がくさび形になるためギリシャ語の楔(くさび)であるスフェノス(sphenos)に由来し名付けられました。そのため和名で楔石と呼ばれています。
8月
スピネルは、ルビーやサファイヤと外観が似ており、産出場所も同じため古くから混同されてきました。スピネルは結晶の先端が尖っているためトゲを意味するラテン語のspinella、に由来し名付けられ、和名も尖晶⽯と呼ばれています。⾊は⾚⾊、ピンク⾊、紫⾊、⻘⾊などがあり、近年⼈気の宝⽯です。
9月
クンツァイトは、鉱物名スポジュメンのうち、ピンク色から紫色をした変種。多色性があり、色の濃いものでは方向により紫色、ピンク色、無色の三色がみられます。
12月
タンザナイトは、鉱物名ゾイサイトの⻘⾊の宝⽯変種。1967年にタンザニアで発⾒され、国の名前にちなんでタンザナイトと名付けられました。多⾊性が強 く、⾒る⽅向によって⻘紫⾊、⻘⾊、ピンク⾊を⾒ることができます。20世紀に発⾒され⼈気となった新しい宝⽯です。
ジルコンは、名称が⾦⾊を意味するペルシャ語に由来するといわれていますが、⻩⾊〜⾚⾊のジルコンは花の名前ヒヤシンスとしても知られていました。そのため、和名では⾵信⼦(ヒヤシンス)⽯と呼ばれ親しまれています。屈折率が⾼く、輝きが強いため古くからダイヤモンドの代⽤品として利⽤されてきました。