9カ国の100人以上の大富豪たちが、世界中の税制度の「不公平性」に注目を向けるため、富裕層への増税を嘆願する公開文書に署名した。
1月中旬に発表された文書の中で、署名者たちは「世界の税制度の基盤に組み込まれた不公平性は、世界の人々とこの制度を設計したエリートたちの間に、巨大な信頼の欠如を生み出している」と述べた。
「簡単に言えば、信頼を回復するためには金持ちに課税する必要がある。世界中の全ての国は、金持ちに公平な分け前を支払うよう要求しなければならない」「私たち金持ちに、今すぐ課税して」と文書には書かれている。
この文書は、1月17日から21日までオンライン開催された世界会議「ダボス・アジェンダ」に参加していた世界のエリートたちの注意を引くため、発表された。
署名を主導しているグループの1つ、「愛国的な大富豪たち」の会長で投資管理会社BlackRockの元マネージング・ディレクターのモリス・パール氏は、「世界の富裕層の富を限りなく増やす一方で、何十億もの人々を簡単に防げるはずの貧困に追いやるシステムを擁護することはできない」と述べた。「私たちは根っこからの組織改革を必要としており、それは私のような金持ちに課税することから始まるのです」。
アメリカの映画プロデューサーのアビゲイル・ディズニー氏や、起業家のニック・ハナウアー氏など、多くのアメリカ人が署名したこの文書は、ただの慈善ではなく、公平性、合理性、生存を強く求めるものだ。しかし、埋めがたい貧富の差がある状況では実現は困難だと指摘する。
文書は世界の大富豪たちに、「世界の人々に、自分は彼らの信頼に値することを示してください」と呼びかけた。「そうでなければ、どんな話をしても、これから起こることは変わらないでしょう」「歴史に学び、賢明な選択をしましょう」。
新型コロナウイルスの感染流行により、貧富の差はさらに拡大している。
2021年の世界の下位40%の平均所得は、パンデミック前の予測より、6.7%低くなっている。
一方、富裕層の富はパンデミック中に爆発的に増加した。Oxfamの報告書によると、世界で最も裕福な10人の富は、パンデミック中に2倍になったという。イーロン・マスクの富は2020年3月以降、1000%増え、2700億ドルになった。
トランプ政権は法人税を40%削減し、税金を支払わない企業を倍増させ、富裕層に新たな減税を行うことで、膨れ上がる貧富の格差を悪化させた。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。