ビリー・アイリッシュが、いつもとは真逆の姿に。訴えたメッセージとは?

「好きなものを着たら、女らしくないと言われる。だけど服を脱いだら、今度はスラットってことになる」

2020年のグラミーで主要4部門を制覇し、前進し続けるビリー・アイリッシュ。

彼女の音楽だけでなく、「バギースタイル」と呼ばれるダボダボのファッションも、注目を集めてきた。

バギースタイルを選ぶ理由を「好きだから着る」と話す一方で、ラインが強調されないことで、体についてあれこれ言われないためだとも、アイリッシュは話している。

Gareth Cattermole via Getty Images

そのアイリッシュが、3月9日にマイアミでスタートしたワールドツアー「Where Do We Go? 」のステージで、ボディ・シェイミング(体型への批判)やスラット・シェイミング(露出の多いファッションをする女性への批判)への強く反発するメッセージを発信した。

背景には、彼女のダボダボな服が露出の多いファッションへの批判につながることへの危惧があるようだ。

 「All the Good Girls Go to Hell」のパフォーマンス前に流れたショートムービーにうつっているのは、いつものバギースタイルではなくタンクトップ姿のアイリッシュ。

そのタンクトップを脱いでブラジャー1枚になったアイリッシュは、黒い液体に体を沈めながら、こう語った。

「あなたは私を本当に知っている?」

「私の意見や音楽や洋服、そして私の体に言いたいことがあるようだけれど」

empowering pic.twitter.com/IBOl9LF0rU

— a 77 (@ILOMIL0S) March 10, 2020

VIDEO: In an interlude, Billie takes off her hoodie and blouse, while speaking about body shaming. #WDWGMiamipic.twitter.com/XY9L00ntlb

— Eilish Tour News (@EilishTourNews) March 10, 2020

メッセージは続く。

「私の服に、文句をいう人もいれば、賞賛する人もいる。それを他の誰かを傷つけるために使う人もいれば、私を傷つけようとする人もいる」

「あなたが私をじっと見ている時、あなたの否定的な眼差しや、安心したようなため息。そればかり気にしていたら、私に前に進むことはできない」

「私はもっと小さい方がいい?弱い方がいい?ソフトでいて欲しい?背が高いほうがいい?あまり発言しないで欲しい?」

「私の肩はあなたを刺激する? 胸は? お腹は? お尻は? 私が生まれ持ったこの体は、あなたの理想ではない?」

アイリッシュは過去のインタビューで、子どもの頃に自分の体を好きになれず、そんな自分にとって衣服は「防御装置」のようなものだと語っている。 

Vogueのインタビューでは、自分の体が好きになれず、うつ病や自傷行為に及んだことも明かしている。

「とにかく自分の体が嫌でした。違う自分になるためにだったらなんでもやりました」    

「私はすごくモデルになりたかった。本当に本当に。だけど私は、太っていて背が低かった」

有名になってからも、彼女のバギースタイルをめぐって、ボディ・シェイミングが起きた。そしてそれは必ずしも彼女を攻撃するものではなかった。

V Magazineのインタビューで、自分のファッションを巡るボディ・シェイミング/スラット・シェイミングについて、アイリッシュはこう語っている。

「私の服を褒めてくれるコメントの中にも、スラット・シェイミングの要素が含まれていることがあります。『あなたが男の子みたいな格好をしてくれて嬉しい。他の女の子もあなたみたいな格好ができるから。そうすれば彼女はスラットじゃなくなる』といったようなものです」

「私は、自分の服や体や肌に満足している女の子を見て、『うわ、気持ち悪い。彼女肌を見せすぎ』とか『こんな服着なければいいのに』と考えたことはありません」

「女性や男性、誰もが自分の肌や体を愛し、自分の好きな格好をして欲しいと思っているし、彼らをサポートしています。だから、私のようなファッションをしたくないという誰かを攻撃することで私をサポートする、という奇妙な新しい世界が、私は好きではありません」

 バギースタイルを脱ぎ捨てたアイリッシュ。メッセージの中でこう問いかけている。

「好きなものを着たら、女らしくないと言われる」

「だけど服を脱いだら、今度はスラットってことになる」

「私の価値は、あなたの意見だけで決まるもの?」

ワールドツアー「Where Do We Go? 」は9月のインドネシア公演まで続く予定だ。   

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました(翻訳・編集 安田聡子)。