三浦さんは1985年に週刊少年マガジン掲載の短編「再び…」でデビューした。剣と魔法の世界を舞台に主人公・ガッツの壮絶な人生を描くダークファンタジー『ベルセルク』で世界的に知られている。
『ベルセルク』は白泉社の『アニマルハウス』1989年10月号から連載開始。『ヤングアニマル』に掲載誌を移して、通算30年以上連載が続いていた。単行本は40巻まで発売済みで、シリーズ累計部数4000万部。2度のテレビアニメ化のほか、劇場映画にもなっている。
『ベルセルク』の公式Twitterは、単行本に未掲載分など作品の今後に関しては、ヤングアニマル公式サイトなどで改めて告知すると発表した。
■「寒気がするほどの才能の塊でした」森川ジョージさんが思い出を綴る
ボクシング漫画『はじめの一歩』で知られる漫画家の森川ジョージさんは6日、連続ツイートで三浦さんとの思い出を振り返った。
それによると森川さんは、三浦さんにアシスタントをしてもらったことがあった。19歳の森川さんが、1986年に開始した初の週刊連載『一矢NOW』を執筆中に、スタッフが一人もいなくて困っていたときに手伝いに来てくれたという。当時、三浦さんは18歳の大学生。講義明けにスケッチブックを片手にやって来たという。
森川さんは、三浦さんが『一矢NOW』で描いた私立伊集院学園という学校のシーンを掲載した上で「寒気がするほどの才能の塊でした」と振り返った。
森川さんは「彼がどれほど描けるのか知らない」ので、自分の描いたものを見せて「これに似せて下さい」と指示したという。しかし「出来上がりに度肝を抜かれました。あまりにも年齢にそぐなわないのです」と、当時の驚きを語った。
何点が描いてもらった後に、2人は手を止めて漫画のことを語り合ったという。森川さんは、三浦さんが持っていたスケッチブックが気になっていた。そこには『ベルセルク』の主人公ガッツの原型となる大きな剣を持った剣士や、パックの原型となる妖精が描かれていた。「太い鉛筆で描かれたそれは圧倒的でした」と森川さんが振り返る。
「なんだよこれ?」と尋ねた森川さんに三浦さんは、「頭の中にあるものです。力をつけてから描きたいと思っています」と答えたという。「すでにそこにはベルセルクはありました」と振り返っている。
1989年になって森川さんは『はじめの一歩』、三浦さんは『ベルセルク』の連載を開始し、いずれも2021年まで連載が続く長寿作品となった。森川さんは『ベルセルク』の発表当時、苦労話も聞いていたが、確信していることがあったという。
「絶対にウケる漫画が始まったと。あの建太郎君が力をつけたと自身のことを判断し、満を持して始めた連載なのです。きっと世間は僕と同じように度肝を抜かれるだろうと確信していました。そしてそうなりました。超絶の画力にして渾身の画面。毎回のエネルギーには尊敬しかありません」
その上で「彼とはその時だけですが僕のことを気にしてくれていたと聞いています。僕も彼と出会えたことが自慢であり誇りです」などと結んでいる。